Doyukai
 

民主党新政権に望む

Author: 同友会 関西経済 | Posted: 2009/09/01 | Views: 1073
平成21年8月30日
社団法人関西経済同友会
代表幹事 山 中    諄
 
【はじめに】
民主党は今回の衆議院議員選挙に圧勝した。これは、有権者の多くがわが国の現状に危機感を覚え、閉塞感の打破を求めた結果であると考えられる。
 
民主党は、マニフェストで掲げた重要施策を、果断に実行すべきである。しかし、マニフェストの中には必ずしも現実的でなかったり、内容が十分に詰めきれていないと思われる政策もある。野党から「政権政党」に代わるという責任を自覚し、現実を見据え、的確な政策を実施して頂きたい。
 
【関西経済同友会の3つの要望】
関西経済同友会としては、民主党新政権に対して、とりわけ以下の3点を求める。
 
1.「国家ビジョン」の明確化と地域主権・道州制の導入
 
世界的には深刻な金融・経済危機のもと多極化が進展しており、国内では少子高齢化や人口減少が進行するなど、わが国は大転換期に直面している。その中で、いかなる国を今後目指すのか、国際競争力の基盤をどこに見出すのかなど、国家の大計が今、まさに問われている。
しかし、民主党のマニフェストには国家ビジョンが見えない。国民を覆う閉塞感を払拭し、個々の政策の実効性を高めるため、国民に分かりやすく国家ビジョンを早急に提示すべきである。
 
地域主権の実現は国のかたちを問う大きな課題である。民主党マニフェストには中央政府の権限の大幅な縮小・国の出先機関の廃止と基礎自治体への大幅な権限・財源移譲が謳われており、これを大胆かつ速やかに実施して頂きたい。
もっとも、広域行政に関しては、現在の府県制度がすでに経済・生活に適応しているとはいいがたく、道州制への移行が急がれる。基礎自治体の強化と同時並行で、広域自治の見直しを進め、道州制の導入を決断して頂きたい。
 
2.当面の景気対策実施と将来の経済成長戦略の明確化
 
わが国経済は、一部に底入れ・持ち直しとの見方もあるものの、実態は急降下後のリバウンドに過ぎず、きわめて危機的な状態にあると認識すべきである。現在は、自民党政権下で打ち出された景気対策がかろうじて経済の命脈をつないでいる状況であり、民主党が主張するようにこれを見直す場合には、よほどの代替手当が必要である。また、中小企業対策の中には、資金面での支援など、現実性・継続性を踏まえてさらに拡充すべきものもある。
このため、今年度の補正予算の見直しを行うのであれば、単なる支出削減・凍結を行うだけではなく、新たな投資に振り向けていくべきである。特に、現在、東京一極集中の弊害は著しく、地方に光の当たる政策が求められる。関西を例に取れば、関西国際空港の抜本的な財務改善策や高速道路ネットワークのミッシングリンクの早期解消は、国全体の経済を大幅に活性化し、国民生活の安定・向上にも大きく資するものである。このような「実のある投資」にこそ資金を投じてもらいたい。
 
また、民主党のマニフェストからは、国の将来を考える際に最も重要な経済成長戦略が読み取れない。パイのないところに分配はなく、財政再建もおぼつかない。経済的パワーのない国に世界の目は向かない。民主党には、現実味のある経済成長戦略の策定を強く望む。
具体的には、①国家ビジョンと結びついたわが国の競争力の強化策はどうするか、②経済活力の源泉である企業が海外に逃げていかないようにするための政策をどうするか、③人材面を含めて諸外国への「開国」をどのように進めていくか、などである。この点を戦略的に政治主導で早急にまとめて頂きたい。
 
3.現実的な外交・安全保障政策の実行
 
マニフェストで謳った「緊密で対等な日米同盟関係」は是非推進して頂きたい。ただし、対等である以上はわが国も相応の責任を果たさねばならない。すなわち、十分な覚悟と果断な行動が不可欠である。
この観点から、集団的自衛権の解釈問題には真正面から取り組むべきである。また、インド洋での給油活動など、海外でのわが国の貢献について、現在の施策を見直すのであれば、今まで以上に各国から尊敬をもって歓迎される施策を展開してもらいたい。
 
北朝鮮の核・ミサイル開発をはじめ、アジア太平洋地域の安全保障問題は今やわが国の重大懸念事項である。安全保障は冷徹な国際情勢や各国の国情の上に構築されるものであり、普段からの高いレベルでの緊密な対話・情報交換が何よりも重要である。同盟国である米国はもとより、関係各国とも政権トップ自らが積極的な安全保障外交を交わして頂きたい。また、その裏付けとなる安全保障戦略について、わが国の政権が変わるたびに基本路線が変わることのないよう、国家安全保障委員会を設置するほか、不断の意見交換・戦略検討の場を超党派で設けて頂きたい。
 
 
【おわりに】
経済・社会とも現在歴史的な転換点にある。
今回の総選挙で国民は民主党に、自民党政権下の既得権益のしがらみを断ち切り、過去の政権でできなかった大胆な改革の断行を求めている。いやしくも新たな既得権益を生んではならない。
民主党は、今般の歴史的大勝におごることなく、次世代を見据えた大きな目線と、地に足のついた政権運営で、この国民の負託に応えねばならない。
                               以 上
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