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提言・アピール

アベノミクスの評価と2年目の課題
~財政再建を意識した成長戦略の実行を~

2014.04.03update

(平成26年)4月
一般社団法人 関西経済同友会

経済政策委員会

<政策評価・監視機関(日本版IFI)の設立と社会保障制度改革の推進> 

2012年12月の第2次安倍政権発足以降、大胆な金融政策(第1の矢)、機動的な財政政策(第2の矢)、成長戦略(第3の矢)が相次いで打ち打された。とりわけ、第1の矢と第2の矢による短期的な景気刺激効果は大きく、株価上昇や円高修正が進み、消費者マインドが大きく改善した。また、第3の矢についても、一部に積み残しの課題があるものの、産業競争力強化法や国家戦略特区法を成立させるなど、着実に対応を進めていると評価できる。

もっとも、アベノミクスのこれまでの対応を振り返ると、消費税率引き上げなど、財政再建に一定の配慮はなされているとはいえ、総じてみればデフレ脱却に主眼が置かれている印象が強い。こうしたなか、①第3の矢について、本来、中長期的な潜在成長力を高める政策であり、効果が顕在化するまで時間を要する、②消費税率引き上げによる景気減速を懸念する声もある、といったなかでは、今後、アベノミクスにおいて、財政再建よりも経済成長を優先する傾向が更に強くなる可能性は否定できない。

一方、一般会計歳出の約半分にあたる43兆円もの財源を国債に依存する予算編成が続き、国と地方を合わせた一般政府債務残高(約1,000兆円)はGDPの2倍を超えるなど、我が国の財政指標はソブリン危機に直面した南欧諸国よりも悪化している。関西経済同友会はかねて、3本の矢による経済成長に加え、財政再建に向けた揺るぎない決意を国内外に示すべく、財政再建という「第4の矢」も番えるべきと主張してきたが、それは今も変わらない。「経済成長と財政再建の両立」に向けて、危機的な状況にあるわが国の財政にも目配りした経済財政運営を進める必要がある。

本委員会では、以上の基本認識のもと、アベノミクスのこれまでを評価するとともに、2年目を迎えたアベノミクスが、経済成長と財政再建の両立を通じて、日本経済を再生させるために何をなすべきか、という観点で提言する。

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