提言・アピール

上方発 企業の社会貢献宣言
-志高き企業経営を目指して-

2007.05.01update

2007年5月
社団法人関西経済同友会

CSR・企業倫理委員会

昨今、「企業の社会的責任」が各メディアで毎日のように取り上げられている。この「企業の社会的責任」という言葉はもちろん以前から存在していた。江戸時期から明治・大正・昭和の多くの日本の企業家の中には「企業が社会のためにあること」を自明のことと考えていた人達も少なくない。

しかし、ここ数年、大きく取り上げられるようになったのは、海外のみならず日本においても頻発する企業不祥事、経済のグローバル化による影響度の増大、消費者団体・NPO・NGOの台頭に代表される企業活動に対する厳しいチェック、ITの発達により不祥事が世界に瞬時に伝達されることなどが、その背景としてあげられる。

特に日本では、バブル崩壊後、企業は徹底的な事業の効率化により業績を回復させたが、その過程において一部企業において過度の株主重視や短期的利益追求の風潮が広がったり、マネーゲーム的なM&A等が散見されるようになった。

その反省として、コンプライアンスやCSR(企業の社会的責任)の考え方が広がってきたが、その内容は米国の理論の受け売りに止まっているように感じる。実践面は、CSR部の設置、倫理憲章への従業員のサイン、CSR報告書の作成も体裁を整えることで終わっていたり、CSRの広報が一部で企業のイメージアップを目的と捉えられているのも事実である。現場からは、そうした活動に対して、やっかいなものが始まったとさえ受け止められている場合もある。

社会の健全な発展のためには、モラルや倫理観の欠如は日本の世論・人々の価値観にとって許さざることではなく、その存在意義に対する疑義さえ生じている。