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提言・アピール

地方議会改革から、この国のかたちを変えよう
~ 議会の「見える化」で基礎自治体・広域自治体の自立を ~

2010.05.17update

2010 年5月
社団法人 関西経済同友会

道州制・地方議会を考える委員会

我が国の長期債務残高は、1990年度の266兆円から、2009年度(補正後)の816兆円まで、実に550兆円も積みあがった。その間、名目GDPは、452兆円から一時は516兆円(2007年)まで増加したものの、直近は475兆円(2009年暦年)と右肩下がりが続いており、1人当たりGDPの国際順位も低下の一途をたどっている。この事実は、冷戦終結後、自民党政権が行った数々の経済政策の効果が既に限定的で非効率であり、中央集権体制が、もはや機能していないことも示している。一方で、中国、韓国はじめアジア各国の躍進は目覚しく、日本を脅かすまでに国際競争力をつけ、成長を続けてきた。中でも、人・物・金を呼び込むアジアの中核都市の発展には目を瞠るものがある。まさにグローバル競争は、地域・都市間競争の側面が強くなっている。

日本がこれら各国に伍して経済的な強さを発揮するためには、地方がそれぞれの強みと特色を活かして、競争力を強化していかねばならない。当会が長年主張してきたように、日本は地域主権型道州制に移行し、道州単位で都市間競争を勝ち抜いていくべき時代的要請はますます強くなっている。市民の日常生活に関わることは基礎自治体で決め、広域に関わることは道州政府(道州政府誕生までは府県および広域連合)で決め、安全保障や防衛など国家でしかできないことを国家が決める。これがこれからの日本のかたちなのである。

しかしながら、地方には分権を担う体制が十分に整っているとは言えない。地方の中央依存は根深く、いまだ“もたれあい”の構図が続いている。地方の権限・財源が限られてきた中で、地方議会の役割も限定され、地方政治は十分育ってこなかった。住民自治は発達せず、むしろコミュニティーは希薄化してきた。自治体の議会、首長および行政による自治体運営は必ずしもうまくいっておらず、ほとんどの自治体が財政危機にあえいでいる。府県間の連携も弱く、中には対立しているところすらある。

これから地方は、“お上頼み”“もたれあい”を脱却し、真に自立しなければならない。変革の主体は地域の住民(企業・団体・NPO・ボランティア・社会起業家等を含む)と、自治体および地方議会である。地方・地域の意思決定に住民が参画する中で地方政治を機能させない限り、自立することも、都市間競争に勝っていくこともありえない。その意味で、地方自治の中核・地方政治の舞台である地方議会の活性化は喫緊の課題なのである。

そこで、本委員会は、この国のかたちを変える第一歩として、地方自治の中核・地方政治の舞台である地方議会の活性化を図るべく、地方議会の目指すべき方向を提言する。