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提言・アピール

大阪の都市再生・街づくりの計画的推進を
~住民が真に誇れる活力ある大阪を目指して~

2005.05.01update

平成17年5月
社団法人 関西経済同友会

調査企画部会

  • これからの都市再生は、経済効率の追求のみならず、住民の視点に立った街づくりによって、都市生活者のゆとりと真の豊かさを実現することが求められる。住民自らが誇りを持てる街にしていくことが、居住者と来街者の増加をもたらし、結果的に都市の総合的価値をも高めていくことになる。
  • 都市の歴史的成り立ちが違うとは言え、魅力的なヨーロッパの各都市は、行政が都市再生・街づくりの明確なビジョンを持ち、経済原理、市場原理のみに任せることなく、住民を主体にした、住民が誇りを持つことのできる街づくりを行なってきている。
  • 然しながら大阪市に限らず、我が国の都市政策は、街づくりにおいて地域住民の参画がなかったということもあり、経済の活性化にウエイトがかかり、本来都市の主役であるべき住民の生活を忘れてきたのが実状である。
  • 2000年5月に都市計画法が改正され、全ての都市計画区域で「都市計画マスタープラン」を策定することが義務付けられ、大阪府でも2004年4月に「都市計画区域マスタープラン」を策定し、その中で大阪市全行政区域を都市計画区域に指定し、街づくりについて方針を示した。しかしながら府の計画を受けての大阪市としての「都市計画マスタープラン」はまだ策定されていない。
  • 「都市計画マスタープラン」が無いまま、いわゆる敷地主義、物件主義による都市開発がなされると、持続性のある良い都市資産は形成できない。また、市場原理のみに任せていては住むに耐えない住環境をもたらすことにもなり、行政による計画的かつ明確な都市政策が必要である。
  • また、その長期的視点に立った都市計画を具体的に実行・推進していく体制が必要であるが、その推進体制が十分とは言い難い状況にある。神戸市は、震災の被害から見事に立ち直ったが、街の再生において行政と共に地元企業、建物オーナー、住民からなる街づくり組織が大きな役割を果たした。こういった実態を見ても、これからの街づくりは行政と民間(企業・住民)が連携・協働して進めていかないとより良い成果は得られない。
  • 大阪市においても、社会資本・建築物の劣化、都市景観や住環境の悪化、安全性、土地利用の空洞化など様々な問題を抱えているなかで、都市再生をはかるには、行政が明確なビジョンとそれをブレイクダウンした実行計画を持ち、具体的に推進するための体制づくりを行うなかで、継続的かつ地道に取組んでいくことが必要である。