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提言・アピール

攻めの農業を目指そう!
『儲かる』、『魅力ある』、『地域を活性化させる』で若者に夢と希望を与える

2014.04.07update

平成26年(2014年)4月
一般社団法人 関西経済同友会

農業改革委員会

本委員会は、2012年(平成24年)度より、「自由化後の日本農業のあるべき姿の検討」を主たる課題として調査・研究を開始した。講演会、関係者ヒアリング、現地視察を重ね、情報収集に努めた。日本の農業は約8兆5,000億円の農産物を生産し、約4兆8,000億円の付加価値を生み出す産業である。しかし、日本経済全体に占める比重は年々低下しており、2012年の農業の付加価値(GDP)は約1%、総就業人口の約3.8%を占めるにすぎない。輝く日本の再生のためには、貿易・投資立国という日本の原点に立ち戻り、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をはじめとするFTA、EPA(自由貿易協定)を積極的に推進すべきだ。そのためにも、日本の農業を強く自立した魅力ある産業に変えなければならない。

2012年10月と2013年8月の二度にわたり、韓国農業の実態や農政につき、調査・研究を行なう目的で、韓国に視察団を派遣した。韓国農業は、日本と同様に、米作、小規模農家が中心であり、農家の高齢化と後継者問題を抱えつつ、グローバル競争に晒されている。しかし、日本以上に貿易立国である韓国にとって、FTA、EPAを積極推進する以外に選択肢はない。韓国の歴代大統領すべてが、長期的な視野に立つ一貫性のある農政を実施し、農業の競争力強化のために、消費者ニーズに合わせた生産を推進し、無農薬・減農薬などのエコ農業や、品種改良による差別化・ブランド化など収益力向上を支援している。日本のFTA比率は19%、対する韓国のFTA比率は35%であるが、韓国農業はむしろ競争力が強化され、農家が開放政策を受け入れつつある。

2013年10月には、フランス・オランダへ視察団を派遣した。フランスは、農地の集約・大規模化により競争力を強化する一方で、若者への世代交代を達成した欧州第1位の農業大国である。他方、オランダは、農業を貿易立国としての基軸に据え、研究機関、農業生産者及び食料・食品の生産・製造・輸送・輸出に関わる企業群との連携を取りながら世界をターゲットにした輸出戦略を実施し、小国ながら世界第2位の農業輸出国に成長している。

TPPについては、2013年3月に安倍総理が交渉参加を表明し、現在、交渉は最終局面に入っている。日本政府は、重要農産5品目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖)を関税撤廃の対象から除くよう主張する一方、国内対策として、減反の廃止や農地中間管理機構(農地バンク)の設置などの施策を打ち出している。しかし、日本の農業を取り巻く環境は待ったなしの状況であり、5品目についても関税を撤廃し、直接支払による農業支援に切り替えるべき時期に来ているのではないだろうか。

水が豊かで、四季があり、自然に恵まれた日本の国土を生かしつつ、農業を地方・地域の活性化の基盤とし、若者に夢と希望を与える魅力ある産業にするために、農業を成長戦略の主軸のひとつに位置づけ、異次元の規制改革・構造改革を断行すべきである。

2013年3月、2年間の当委員会活動の中間報告として、緊急提言「農業改革を断行し、農業を成長産業に-『儲かる』、『魅力ある』、『地域活性化』を目指せ-」を発表した。ここに、当委員会の2年間の集大成として、最終提言を行う。

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