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提言・アピール

東アジアの平和と安定に向け日韓の連携強化を
~第10回「大韓民国調査団」を終えて~

2011.10.04update

平成 23 年 10 月4日
社団法人 関西経済同友会

安全保障委員会

関西経済同友会は第10回「大韓民国調査団」を2011年8月31日~9月2日に亘って派遣した。この大韓民国調査団は、東アジアの平和と安定にとって大きなリスクである朝鮮半島情勢について、より深く調査・研究するため、2000年よりほぼ毎年、韓国の政治家、政府機関、シンクタンク、経済団体、メディア関係者などを訪問し、安全保障問題、経済問題、日韓関係などについて意見交換を行ってきた。
今回は、10回目という節目の訪韓となったが、昨年の北朝鮮内外での動きを始めとする朝鮮半島情勢や中国のプレゼンスの高まりなどを中心に活発な議論を交わし、改めて東アジアの平和と安定に向けて日韓の果たすべき役割の重要性について認識した。これらの成果を踏まえ、安全保障委員会は下記のとおりアピールする。政府におかれては、今後の政策立案にあたって是非とも取り入れていただきたい。

  1. 日韓の政府間および民間レベルでの関係深化を目指すべき
    東アジアの平和と安定に向けては、日米同盟と韓米同盟に日韓の関係強化を加えた戦略的トライアングル体制が不可欠である。今回の訪韓でも、日米、韓米は同盟関係にあるが、日韓は正式な同盟関係にないため、日韓の連携を強化し、両国の関係をより深めていく必要性が指摘された。そのためには、安全保障、経済、文化それぞれの面でより緊密に連携する必要がある。
    文化面では、既に市民レベルでの交流が進展しているが、安全保障、経済分野においてはまだまだ課題が多い。安全保障面については、まず、日韓の政府間でのより高次元での安全保障に関する情報交換体制(場)を構築する必要があると考える。
    経済分野については、現在、交渉自体が中断している日韓FTA・EPA交渉を進め、締結するという目に見える形で連携を進めてもらいたい。今回の訪問で、韓国側から、韓国のEPA・FTA政策が世界で一番進んでいるのは、国内を二分する激しい反対・抵抗の中、政府が強い意志を貫いた結果との話を伺い、日本政府も強い意志をもって是非取り組んでいただきたい。
  2. 日米韓が協力し6カ国協議の再開を急ぐべき
    金正日総書記のロシアや中国訪問といった最近の動きについて、韓国側は北朝鮮の6カ国協議再開への意思表示であるとともに、国内の情勢不安の現れと分析しており、我々も同感である。したがって、日本政府はこの機会を逃すことなく、日米韓が協力し6カ国協議再開への道を探り、核・拉致・ミサイルという3つの北朝鮮問題の解決を急ぐべきである。
    これらの取り組みを実効たらしめるには、わが国自身が新たな時代状況に応じた防衛体制を整えなければならない。わが国が東アジアの平和と安定に貢献するに相応しい防衛体制が構築されることを求める。
  3. 集団的自衛権の政府解釈変更、武器輸出三原則等の弾力的運用の実施
    今回、韓国側からは、「北朝鮮の核は『核』である」といった意見が述べられ、さらに「北朝鮮の核保有は続く」との見方が示された。北朝鮮は6カ国協議再開への意志があるとはいえ、その脅威は依然解消されておらず、日本としては日米同盟をより強固で有効に機能させることが必要である。そのためにも、集団的自衛権行使を可能にする政府解釈の変更を行うべきである。加えて、武器調達コストの増加や国内防衛関連産業の衰退などの弊害をもたらし効率的な防衛体制構築の阻害要因となっている武器輸出三原則等についても、弾力的運用を早急に行うべきである。

以上