提言・アピール

東日本大震災追悼シンポジウム

2012.03.11update

2012年3月11日
全国経済同友会
東日本大震災追悼シンポジウム
参加者一同

本日、東日本大震災の発生から1年を迎えました。全国から集った我々一同は、数多くの尊い命が犠牲になったことに対し、ここに心から哀悼の意を表します。被災地では、未だに多くの課題が山積していますが、子供たちに希望ある未来を残すために、我々自身も、個人として、そして企業としての役割と責任を自覚し、真の復興に向けた息の長い支援に全力を尽くすことをここに誓います。

本日のシンポジウムにおける議論などを踏まえ、復興に向けた歩みを確実に前進させるため、特に緊急に対応すべき問題について、我々は以下のとおり提言します。

  1. 風評被害の払拭に向け、観光や食の安全のPRなど東北全体が一丸となる取り組みを、国を挙げて推進すべきである。
    • 震災以降、東北地方への国内外観光客の激減や、東北産の食品を敬遠する動きなどの風評被害が広がっている。これは、甚大な被害があった岩手、宮城、福島にとどまらず、青森、秋田、山形など他の東北各県にも深刻な影響を及ぼしている。したがって、観光や食の安全などのPRについて、東北のみならず国を挙げて推進すべきである。特に、政府は国内外に対するわかりやすい情報発信をさらに徹底し、風評被害の払拭に努めるべきである。
    • 我々が個人としてあるいは企業として実践できることも多い。例えば、東北全体を博覧会場に見立てた「東北観光博」が来週から実施される予定であるが、我々も家族や国内外の知人とともに積極的に各観光地に足を運び、企業としても新しいアイデアで各地の魅力を掘り起こしていく。

  2. がれき処理の加速に向け、政府は住民の不安を払拭するための信頼性のある共通指針を示し、全国各地でがれき処理の受け入れを推進すべきである。
    • 震災から1年が経過し、がれきの「撤去」は進みつつあるが、その「処理」が停滞し、復興の障害となっている。その一因には、放射能汚染に対する全国各地の住民の不安感や不信感がある。したがって、政府が安全性に関する不安を払拭するための信頼性のある共通指針を示した上で、全国各地の自治体で、安全性の問題のないがれき処理の受け入れを推進すべきである。その処理費用については、受け入れた自治体の負担とせず、国費を投入すべきである。
    • 例えば、がれきの搬入、焼却、埋立処分時の放射性セシウム濃度の測定、仮置き場や廃棄物処理施設周辺でのモニタリング、データの公開など、安全確認のプロセスを徹底するような共通指針の提示が望ましい。その上で、安全性に問題のないがれきの受け入れにも不安感を拭い去れないとする声に対しては、首長がリーダーシップを発揮し、客観的データに基づいて説得に当たり、最後は必要な決断を行うべきである。
    • 全国各地に住む我々も、被災地の痛みを共に分かち合うという精神から、地元自治体でがれき処理受け入れが行われるよう、国や自治体に対し、信頼性ある共通指針の提示や、安全性の確保を前提にした受け入れ促進を働きかけていく。
    • なお、安全性の基準値を超えるがれきの処理については、自治体任せにせず、早急に国が責任をもってその処理方針を示すべきである。

  3. 全国経済同友会「震災復興部会」でさらなる緊急提言を行う。
    • この他にも、本日のシンポジウムでは、震災後1年を経て、被災地が直面している様々な課題が浮き彫りになった。また、がれき処理などの復旧を迅速に進める一方で、その後の復興については、明確なビジョンや計画を立て、時間軸を考えながら着実に実施して行く必要がある。拙速な取り組みでは、将来に禍根を残す結果にもなりかねない。
    • そこで、全国経済同友会地方行財政推進会議震災復興部会では、本日提起された課題も含め、緊急に対応すべき課題、真の復興に向けて中長期的に取り組むべき課題について早急に検討を開始し、今後緊急提言を取りまとめる。