提言・アピール

第70回西日本経済同友会大会 共同見解

2012.10.19update

2012 年 10月19日
西日本経済同友会

  • 現状認識かつてわが国は世界に冠たる技術立国として高機能・高品質で世界市場を席巻し、ジャパン・アズ・ナンバーワンともてはやされた。それが今や、モノづくりの競争力は大きく傷ついたと見られている。とはいえ、依然として、自動車、精密機器、工作機械、ロボット、電子部品、化学製品を含めた各産業分野では、まだまだ世界有数の実力を備えていることも事実だ。つまり、日本のモノづくりは、底力が失われたということではなく、問題は本来有している力を生かし切れていないところにあるのではないか。
  • デザイン力でモノづくりの再構築を先進国では商品があふれるモノ余りの時代となった今、本当に人々が欲しいものは何だろうか。また、アジア新興国においても終わりの無いコスト競争に陥るのではなく、潜在的な欲求を掘り起こせるモノを提供することが求められているのではないか。その為には、単にモノの追求だけでなく、感性(美しい色彩や造形、使いやすさ等)を生かし、それに技術を結びつけ、新しい価値を創出する推進力が必要である。日本人には、相手を思いやる心や丁寧さ、細部にこだわる、お互いを尊重するなど、独特の優れた気質、まさに「和」の心がある。こうした強みを生かして「モノにデザインとサービスを付加して顧客に満足感を与えるビジネス」への転換を進め、新たな市場を開拓していかなければならない。このように、今後は、単なる技術力に加え、日本人の感性・気質も生かした、「モノ」と「モノの全てを取り巻く概念を形にしていく力」、すなわち広い意味での「デザイン力」が日本の未来を拓く鍵となる。
  • 変革すべきこと、継承・発展すべきこと現下の熾烈なグローバル競争を生き抜くためには、経営者は変わらなければならない。即ち、異質なものを受け入れ、そこから新しい価値、次なる手を生み出していく地道な努力が必要である。日本には創業100年以上の会社が2万社以上存在し、その中でもモノづくり企業が四分の一程度を占めており、その数は世界でも類を見ない。この誇るべき日本の文化、日本人のモノづくりのDNAを継承・発展すべきことを忘れるべきでない。我々経営者が若者に夢を語り、次の世代を育て、強いリーダーシップを持って行動を起こせば、必ずやこの大転換時代を乗り越えられると確信している。

以上