提言・アピール

第68回西日本経済同友会大会 共同見解

2010.10.22update

平成22年10月22日
西日本経済同友会

西日本経済同友会大会

  • 現状認識
    日本は四方を海に囲まれた島国で、その豊饒の海と複雑な地形の海岸線が多様性に富んだ国土を形成してきた。そうした環境の中で、先人は海のもつ可能性を模索しながら、海洋を成長基盤にして、世界の貿易立国へと成長させた。
    近年、地球規模での行過ぎた開発や自然破壊が進み、海の生態系は崩れ、漁業における相次ぐ乱獲も相俟って、水産資源の枯渇が懸念されている。また、世界的な人口増やアジアを中心とする新興国の台頭で、石油・鉱物など資源エネルギー需給の逼迫と価格の高騰は益々深刻さを増していくだろう。
    日本は、輸入に依存してきた「資源小国」から脱却できないまま、やがて「経済小国」へと脱落してしまうのか。
  • 海洋産業立国を目指して
    日本の海洋産業は、潜在的には大きな可能性を秘めている。地球の7割は海で占められ、日本の国土は小さいが、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせれば、その面積は、世界第6位になり、そこには、未利用の膨大な資源が眠っている。
    海底油田、メタンハイドレートや、深海底に存在する金、銅、亜鉛、鉛などの鉱物資源開発は緒についたばかりであり、官民を挙げて積極的に推進すべきである。
    また、日本の漁業は、養殖や蓄養技術の開発が進み始めたが、産学連携のもと、「育てる漁業」への技術開発を進め、水産資源の安定的供給源の確保へと繋げなければならない。
    海洋は我々の身近なところに存在し、人の心を癒してくれる。多様性を形成する美しい日本の海の景観は、観光資源として世界の観光客を魅了させるには十分である。とりわけ西日本には多くの海洋観光資源が存在しており、内陸も含めた各地域の観光資源を有機的に結合することにより、官民一体となって広域観光振興を図るべきである。
    更に、今後、物資輸送のハブ機能を担う港湾などの海洋インフラの役割はより一層重要になることから、国は、拡大するアジア市場と近い西日本地域の海洋インフラ整備に全力を挙げて取り組むべきである。

  • 活力ある海洋国家の構築を
    本年6月に国が策定した新成長戦略における環境・エネルギー大国戦略の中で、海洋資源、海洋再生可能エネルギー等の開発・普及の推進が明確に位置付けられた。
    資源小国の日本にとって、水産資源、エネルギー・鉱物資源、観光資源などの海洋資源の開発が、西日本、ひいては日本の資源安全保障と持続的経済成長への未来を拓く「鍵」である。そして、西日本の港湾が、国の国際バルク戦略港湾に選定されることにより、物流インフラが面的に強化され、海洋産業の振興・発展を実現していく。
    わが国が西日本から始まった海洋貿易で栄えたという原点に今一度返り、我々の身近にある“海”の可能性を新たに追求し、日本の経済・社会そして国民生活の持続的、安定的成長が実現できる「活力ある海洋国家」を構築しようではないか。

以上