代表幹事コメント

年頭にあたって

2024.01.01update

代表幹事 角元 敬治
代表幹事 宮部 義幸

 あけましておめでとうございます。

 わが国経済は今、「賃金と物価が安定的に上昇する好循環」の実現に向け、正念場にあります。昨年わが国は、コストプッシュ型のインフレ圧力に戸惑いながらも、春闘において民間企業平均3%を超える賃上げ率を達成し、約30年にわたる低物価・低賃金・低金利の縮小均衡型デフレ経済から脱却するための糸口を掴んだと思います。今年は、官民が一体となってこのチャンスを力強く引き寄せ、健全に発展を続ける成長型経済の実現を確かなものにしなくてはなりません。

世界に目を向けると、ロシア・ウクライナ戦争の収束が見通せない中で、中東でもハマスの奇襲とイスラエルの報復措置により紛争が激化し、国際情勢は一段と混迷を深めています。人間の命と尊厳が簡単に踏みにじられる惨劇に強い衝撃を覚えると同時に、我々が当たり前に享受してきた社会の平和と安定がいかに価値あるものであるかを突きつけられました。こうした紛争に対する国際世論の分断が深まる中、どのような形で紛争を解決し、世界の平和と安全を保障し、そして地球規模の経済的・社会的結束を強めていくのか、叡智の結集が求められます。

 わが国では、加速する少子化・人口減少の影響が労働供給制約という形で顕在化し、企業経営のあり方だけでなく社会構造・システムそのものにおいて、DXやGXの潮流を捉えた抜本的な変革が求められます。その他にも、多様な人材が存分に能力を発揮できる環境の整備、経済格差に起因する機会不平等・貧困の連鎖の解消、次代を担う課題発見・解決型人材の育成、地域創生・首都圏一極集中の是正など、わが国全体で取り組むべきことが山積しており、経済界もこれらの課題に真正面から向き合い、その一翼を担っていく必要があります。

 今年の4月に「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げる2025年大阪・関西万博の開幕1年前を迎える中、本年は万博の具体的な準備が目に見える形で進んでいきます。更に9月には、うめきたエリアの「グラングリーン大阪」が先行まちびらきを迎え、多くの人が行き交う関西の中心地に、みどり溢れる高質な都市空間が誕生します。これらの好機を前に、経済界として、大阪・関西が多様な人・叡智の国際交流拠点となり、次々とイノベーションが生み出されるグローバル都市圏の実現に向け、全力を尽くさねばなりません。

関西経済同友会は、1946年の設立から一貫して、社会的責任を担うステークホルダーの一員として、会員相互の切磋琢磨による政策提言と実践活動に取り組んで参りました。本年も引き続き、私たち経営者一人ひとりが健全な危機意識と自ら変革する覚悟を持って、未来のために活動してまいります。引き続きのご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上

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