代表幹事コメント

年頭にあたって

2012.01.01update

社団法人 関西経済同友会
代表幹事 大竹 伸一
代表幹事 大林 剛郎

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

昨年は、まさに激動の1年であり、先例なき諸課題に立ち向かった年でありました。3.11の東日本大震災は、地震・津波による被害はもとより、原発事故、電力不足問題、サプライチェーン寸断など、我々の想像をはるかに超える大きな影響をもたらしました。また、超円高、欧州債務危機問題、タイの大洪水、TPP等国際的な経済連携の枠組みの進展など、我が国および関西の経済活動に大きな影響を与える出来事が相次いで発生しました。

しかし、我が国政府は、こうした未曾有の国難に直面してもなお政治の停滞により、多くの重要課題を置き去りにしてきました。

本年は、国内外において大きな変革期を迎え、我が国および関西の将来を展望する上で重要な1年であり、諸課題に対して果敢に取り組み、克服しなければならない正念場の年となります。

世界に目を向けると、米国、中国、韓国、ロシアなどの国々で、次のリーダーが選出される年であり、外交・安全保障面における重要な節目を迎えます。特に北朝鮮の金正日氏死去に伴う朝鮮半島・東アジア情勢の不安定化が強く懸念されています。また、経済面においても欧州債務危機問題の世界経済への影響など不透明性が増しています。我が国政府には、毅然とした態度で、国益を守るべく、世界の変化に迅速かつ適切に対応していくことが強く求められます。

国内においては、本格的な震災復興をはじめ、税と社会保障の一体改革や財政の健全化、成長戦略の早期実現、超円高への対応、エネルギー政策のあり方など重要課題が山積しております。

こうした中、関西においては、我が国の早期再興と将来の持続的発展を牽引するべく、地域力の向上に取り組まなければなりません。まずは、関西広域連合を核として、広域産業振興の明確なビジョンを持ち、その実現に向けて産学官が一体となり、思い切った規制緩和や独自の産業政策を実行していくことが重要です。特に、「関西イノベーション国際戦略総合特区」は、関西経済を活性化する起爆剤として期待されます。産業界のニーズにあった具体的な制度設計を実現し、実効ある特区としていくため、我々も積極的に貢献していきたいと考えています。

また、忘れてはならないのは震災復興が本格化する年であるということです。関西は我が国の健全な成長に向け、貢献していかなければなりません。

さらに注目すべきは、大阪府・大阪市が新しい体制でスタートし、これからの地域行政のあり方を考えていく上での大きな一歩を踏み出したことです。国家の中枢機能の分散化など地域主権型道州制の実現に向けて、まず関西・大阪の再生を実現し内外に発信していかなければなりません。大阪府・大阪市の取り組み内容である府市水道事業の統合や大阪市交通局の民営化、うめきた第2期開発区域のグリーンパーク化などは、我々が“活力ある大阪の再生”に向けて提言してきた内容であり、これらの早期実現に向けてスピード感ある対応を求めるとともに、我々としても協力していきたいと考えています。

関西経済同友会としては、明るい未来の実現に向け、山積する重要課題に対応する調査・研究活動や会員相互の侃侃諤諤の議論を積み重ね、タイムリーな提言・アピールなどを積極的に発出するとともに、会員間の交流活発化などを通じて、これまで以上に政治・経済・地域社会のあり方に対する発言力を発揮し、我が国・関西の発展に寄与していきたいと考えております。関係各位におかれましては、引き続きのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

以上