代表幹事コメント

年頭にあたって

2015.01.01update

一般社団法人 関西経済同友会
代表幹事 加藤 貞男
代表幹事 村尾 和俊

あけましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申しあげます。

さて、昨年12月に実施された総選挙において、自民・公明の連立与党が全体の3分の2を超える議席を確保した結果、安倍政権は、山積するわが国の重要課題の解決に向けて安定した政権基盤を確立することとなりました。

わが国の経済社会環境に鑑みると、国内においては、少子高齢化の進展を背景とした「人口急減・超高齢化」社会の到来が現実のものとなり、今後の経済成長や財政・社会保障制度の持続性をいかに確保するかといった点や、東日本大震災から4年弱が経過しても未だに道半ばとなっている復旧・復興をどう進展させるかといった点が喫緊の課題となっています。また、国外においては、近隣国の軍事大国化や国境を越えたテロの問題などを受けて、わが国周辺の安全保障環境が深刻さを増す中、平和と安全をどのように維持するかといった点が焦眉の問題となっています。

斯様な状況下、わが国は今まさに大きな岐路に立たされていると言っても過言ではなく、本年はこれらの課題解決に向けた道筋をつけ、次世代に繋がる確かな一歩を踏み出す大切な年となります。

一方で、諸課題の解決に向けては、新しい「国のかたち」を念頭に置いたうえで、次世代に繋がる国創りに着手することが必要となります。新しい「国のかたち」を創るうえでは、東京一極集中是正による多極分散型の社会と、高齢者と若者が共生できる社会をともに実現することが不可欠です。複数の地域が「極」を形成し、各地域が独自の強みや特色を活かして発展していくと同時に、高齢者と若者の両者がお互いに支え合い協力しながら双方の特性を活かし合うことができる国になることが求められます。

そのためには、政策の優先順位を明確にし、迅速に取組を進めていくことが必要となります。政府には、地方創生や女性活躍推進に焦点を当てた政策を加速させるとともに、社会保障制度改革や財政再建をはじめとした国民の痛みを伴う取組についても、真正面から向き合っていただくことを強く求めます。加えて、外交・安全保障政策についても、次世代志向に立ち、近隣国との関係改善・連携強化などを推し進め、国際社会の平和と安定に貢献すべくこれまで以上に積極的に取組んでいくことが急務となります。

また、新しい国創りを進めていくうえでは、多極の中でも頭一つ抜きん出た関西が、東京と並ぶ双発エンジンとなり、「地方創生の旗頭」として全国を牽引する役割を担っていく必要があります。関西では近年、関西国際空港のLCC路線の拡充や大型商業施設の開業等を背景に、訪日外国人数が全国を上回るペースで増加するなど、インバウンド拡大に向けての好循環が生まれつつあります。本年は、関西がこの好循環を軌道に乗せ、今後の地方創生を牽引できるかを占う意味で重要な年となります。我々経済界としても自ら覚悟を持ち、次世代に繋がる国創りに貢献していきたいと考えています。

以上