代表幹事コメント

年頭にあたって

2017.01.01update

一般社団法人 関西経済同友会
代表幹事 蔭山 秀一
代表幹事 鈴木 博之

明けましておめでとうございます。 皆さま、お健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。 昨年の熊本や鳥取での地震では、多くの方々が被災されました。被災地の復旧復興が一日も早く成し遂げられることを願っております。 さて、昨年は世界中が「想定外」の出来事に大きく揺れた一年となりました。海外ではBrexitやトランプ氏の大統領選勝利など、これまでの常識では考えられない事象が相次ぐとともに、各国でグローバリズムや市場主義の見直しを意識した動きがみられました。本年も欧州を中心に選挙等の政治イベントが多く控えているほか、経済面においても、新興国経済の下振れリスクや世界的な保護貿易主義への動き等も懸念されるので、グローバルリスクへのアンテナを引き続き高くしておく必要があると考えます。 国内経済を振り返ってみると、昨年2月に国内初のマイナス金利が導入されたこと等も影響し、マーケット環境は大きく変動した一年となりました。財政面では2017年10月に予定されていた消費税率引き上げが2019年10月に再び延期されました。次世代に禍根を残さないためには、予定通りに消費税率を10%に引き上げることはもとより、さらなる引き上げについても早急に議論を行う必要があり、政治判断として消費税率引き上げの延期を決断した以上、社会保障費など歳出の抜本的削減も速やかに実施すべきと考えます。 外交、安全保障面では5月のオバマ大統領による現職大統領として初めての広島往訪、北方領土問題等がテーマとなった12月のプーチン大統領の訪日、安倍首相の真珠湾慰霊等、外交・安全保障面においても、未来志向の様々な動きがみられました。国の安全は自由な経済活動の大前提であり、安定化が進むことを期待します。 このようななか、関西に目を向けますと、経済情勢については業種によってまだら模様といった感じはあるものの、インバウンドも高い水準で推移する等、総じて堅調に推移していると思います。さらに長期的な観点では、関西経済再浮上のきっかけがこれまでにないほど多く存在し、具体的な動きも見られた一年でした。関西国際空港のコンセッション実施、IR(統合型リゾート)推進法の成立、国際博覧会の大阪誘致に向けた国を挙げた取り組み、うめきた2期や中之島等の都心開発、医療産業等の次世代産業の育成・強化、関西でのベンチャー・エコシステムの形成に向けた取り組み、リニア中央新幹線の早期整備、北陸新幹線の大阪延伸への動き、ミッシングリンク解消に向けたインフラ整備等、本年も行政と経済界が一体となって、さまざまなプロジェクトの推進を継続して参りたいと思います。さらに、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、そして2021年の関西ワールドマスターズゲームズ、といった三大スポーツイベントの成功に向けた機運醸成についても、引き続き当会も率先して取り組んで参りたいと考えています。 このように、関西経済再浮上の材料は、「関西人がこれまで経験したことが無い」と言ってよいほど豊富にあり、これらを一つひとつ形にしていけば、10年後、20年後の関西は、今以上に魅力的な素晴らしい地域になると思います。そのためにも、各種プロジェクトを政府や自治体に任せるだけでなく、当会としても、経営者の目線で経済合理性や社会的意義を検証し、鋭い提言、尖った提言をしていく必要があると考えています。今後も活発な議論を通じて、関西、ひいては日本全体の発展のために努力して参ります。

以上

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