代表幹事コメント

年頭にあたって

2018.01.01update

代表幹事 鈴 木 博 之
代表幹事 黒 田 章 裕

あけましておめでとうございます。皆様、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。 さて、振り返りますと、昨年1月にはトランプ政権が発足、TPPやパリ協定からの離脱を早々と決定しました。更に米国は、カナダ・メキシコとNAFTAに関する再交渉を開始し、自国第一主義を鮮明にしてきました。フランスでは、既成政党の支持率が急落しマクロン新政権が誕生、ドイツでは、移民政策を進めEUをリードしてきたメルケル政権に陰りが見えるなど、国際社会におけるポピュリズムの台頭が確認された1年でありました。 一方、世界経済は2016年半ばより循環的な上昇局面を迎えており、米国・欧州・中国などにおいて緩やかな経済成長が続いています。主要国のほとんどの中央銀行が金融緩和策を取ってきましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)に続き、欧州中央銀行も金融正常化に向けた出口政策を模索していることは歓迎すべきであると考えます。日本においても、企業業績は回復基調にあり、人手不足を背景とする人件費の上昇も見られ、「もはやデフレではない」と言えるのではないでしょうか。日本銀行も、欧米同様、異次元と言われる金融緩和政策から正常な金融政策へと徐々に舵を切り替える時期にあると考えています。 安全保障に関しては、北朝鮮が国連決議を無視して核兵器開発や弾道ミサイルの発射実験を繰り返しています。これは日本のみならず国際社会の平和と安定に対する大きな脅威であります。米国は北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定し、国連安全保障理事会も追加制裁を決議しました。トランプ大統領は、金正恩政権との対決色を強めており、北朝鮮への「予防的先制攻撃」の可能性すら指摘されています。こうした極めて緊迫した情勢下、有事も念頭に置き、憲法改正問題や防衛費のあり方につき、国会において丁寧な議論を重ね、国民的合意形成を図っていただきたいと思います。 10月の衆議院解散・総選挙の結果、与党が圧勝し安倍政権が信任された形となりました。しかし、与野党の得票率には獲得議席数ほどの差はなく、不支持票も無視できない数と判断され、この点を踏まえ、安倍首相には誠実な国会運営を期待しています。その上で、国会で絶対過半数を占める与党を基盤とする安定政権であるからこそ、ポピュリズムに陥ることなく、日本が解決すべき大きな課題である基礎的財政収支(PB)の黒字化実現をお願いしたいと思います。そのためには、税と社会保障の一体改革、それに関係する消費税率の更なるアップなど諸施策の実現が急務であります。また、持続的な経済成長のためには、企業も賃金アップや投資にもっと積極的になるべきでしょう。 過去数年、来日外国人数は飛躍的に伸びています。ただし今のままで伸びていくかというと不安があります。更なるインバウンドの増加を目指すなら、大阪・関西の魅力を高めていく必要があります。中期的には大阪・関西地区におけるMICE・IR施設の誘致や2025年の国際万国博覧会の開催も成長の起爆剤となるのは間違いなく、当会では引き続きこれらの誘致に注力していきます。 加えて、革新的な技術・サービスが生まれる第4次産業革命が急速に進んでいます。日本はもはやファーストランナーではなく、先行する欧米諸国に追いつくために、新たなイノベーションを生み出し、いかに国家・都市・企業間競争を勝ち抜いていくかが大きな課題となっています。また、失敗を恐れず、新たな試みを仕掛けるベンチャー企業を永続的に生み出すようなエコシステムを持つことも極めて重要です。当会は、行政と他の経済団体との連携を進め、新たな産業クラスターを生み出す方法を追求していきます。 当会自身も、大阪・関西・日本の未来を創っていくという強い気概を持ち、今年一年の活動を行っていきます。関係各位におかれましては、引き続きご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上

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