代表幹事コメント

財政運営戦略・中期財政フレームの決定について

2010.06.22update

社団法人 関西経済同友会
代表幹事 山中 諄

本日、財政運営戦略及び中期財政フレームの閣議決定が行われた。これまでの民主党の政権運営において全体ビジョンの欠如が問題視されていた中で、政府が財政再建の大枠を定めることにより、野放図な財政支出の継続による財政赤字の拡大・公的債務の増大に歯止めがかかることが期待され、一定の評価ができる。中期財政フレームによる11年度から3年間の歳出の枠組みと、20年度までの10年間の財政健全化の道筋を、今後、必ず守っていただきたい。しかしながら、今回の二つの指針は、何れも総論に留まっている。自公政権時代の「骨太の方針」では項目ごとの歳出削減額を明記していたが、それと比較しても、どういう手段で進めるのか具体案に欠けている。速やかに具体的方策を打ち出していただきたい。今後、如何に実現していくか政権の真価が問われる。ギリシャ危機をきっかけに、欧州を中心に世界各国は、歳出削減をはじめとした財政再建に真剣に取り組んでいる。先進国中特に危機的財政状態にあるわが国においては、将来の世代のためにも、これ以上、この問題を先送りすることは許されない。財政再建を達成するためには、新成長戦略の着実な実行により経済成長を図るとともに、歳出削減と税収拡大が不可避であり、国民の痛みが伴うため、その理解を得ることが、実効性を確保する上で不可欠である。なお、必要な税収拡大は止むを得ない面もあるが、その前提として十分な歳出削減なくしてはありえないことを忘れてはならない。

以上