代表幹事コメント

2024年度与党税制改正大綱決定について

2023.12.14update

一般社団法人 関西経済同友会
代表幹事  角元 敬治

  • 与党は2024年度税制改正大綱を決定した。
  • 賃金と物価が安定的に上昇する好循環の実現に向け、政府・企業双方にとってこの1年が正念場となるなか、賃上げ促進税制を一段と拡充する方針が示された。企業自らによる持続的な賃上げの動きが社会の裾野まで広がり、国民の安心感の醸成と消費の拡大がもたらされるような、健全な経済発展の一助となることを期待する。
  • わが国発の知財を対象とするイノベーションボックス税制や、半導体・GX分野での戦略分野国内生産促進税制が創設された。知財が生み出す収入の拡大や戦略物資の生産・販売量の増加を促進する仕組みであり、企業行動の変化と技術の社会実装に向けた新たなインセンティブになるものと評価する。企業は、こうした支援策も後押しに、経済安全保障とサプライチェーン強靭化の観点を踏まえた戦略的投資やビジネスの再構築、イノベーションの創出を実現していかねばならない。
  • 足許の国民生活の安定や経済成長の促進に向けた各種税制措置が講じられる一方、防衛費増額にかかる安定財源の確保や膨張を続ける政府債務の健全化などの財政問題への対策は依然として棚上げされている。本来、歳出を伴う施策と財源は一体で検討されるべきであり、現世代が受益する分の負担の議論を安易に先送りすることは、未来への負担転嫁とも看做されかねない。政府・与党におかれては、日本の未来と国益を見据えた財政議論を着実に前進させてもらいたい。

以上

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