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提言・アピール等

災害大国日本に 命と経済を守る「未来への投資」を
 ― 尊厳ある避難所の実現
  事前復興による「4B」の実践 ―

2026.03.10update

一般社団法人関西経済同友会
調査企画部会

  • 一般社団法人関西経済同友会調査企画部会は、このたび、わが国の防災・復興の在り方を根本から問い直す提言をとりまとめました。
  • 2026年3月11日で、東日本大震災の発災から15年を迎えます。この歳月を経て、私たちは改めて、過酷な避難所生活の中で本来は失われずに済んだはずの『救えたはずの尊い命』、そして、都市機能の回復の遅れが招いた地域の衰退や国際競争力の低下といった『失われた経済的活力』という厳しい現実に、真正面から向き合わねばなりません。
  • 現在、南海トラフ地震をはじめとする国難級の巨大災害の発生が懸念される中、わが国が直面する少子・高齢化に伴う支援の担い手不足と、深刻な財政制約という構造的課題を直視すれば、被災した後に多額の公費を投じて復旧を図る従来の『事後対応型』モデルは、もはや社会の持続可能性を担保する仕組みとして、限界に達していることは明白です。
  • 本提言では、被災後に「より良い復興(BuildBackBetter:3B)」を目指すだけでなく、被災前から創造的な復興ビジョンを合意・実践しておく「BuildBackBetterBefore(4B)」へのパラダイムシフトを強力に提唱します。

 

■本提言のポイント

  • 【1】「脱・雑魚寝」:国の財政負担による国際基準(スフィア基準)の避難所整備(本編p18)
    昭和初期から停滞している避難所環境を「人間の尊厳を守る場」へ引き上げ、南海トラフ地震で最大52,000人と予測される災害関連死を最小化します。
  • 【2】「フェーズフリー法(仮称)」の制定:日常と非常時の境界撤廃(本編p23)
    防災を「死蔵コスト」から「投資」へ転換。日常のインフラがそのまま有事の強靱性(レジリエンス)として機能する社会構造を再設計すべく、バリアフリー法に倣い、「フェーズフリー法(仮称)」を制定します。
  • 【3】「防災復興庁」への組織拡充と「事前復興くにづくり計画」の策定(本編p25)
    2026年度に設置予定の「防災庁」を、事前防災から復興までを一元的に所管する司令塔へと発展させます。
  • 【4】「事前復興債」の創設:責任ある積極財政によるフロントローディング投資(本編p26)
    「事後」の膨大な復興費用を費やす前に、58兆円の事前投資を行うことで、将来の損失を161兆円回避するという、合理的かつ戦略的な財政スキームを提案します。

 

■提言の背景 ~31年前、そして15年前からの教訓を「未来への投資」へ~

  • 1995年の阪神・淡路大震災では、避難生活の過酷さに起因する「災害関連死」の問題が初めて浮き彫りとなりました。震災そのものを生き延びたにもかかわらず、その後の環境によって失われた多くの命は、わが国の避難所環境が「人間の尊厳」を守るレベルに達していないことを突きつけました。
  • その16年後、2011年の東日本大震災では「より良い復興(3B)」へと進化を遂げたものの、被災した「後」に計画を策定する手法では、合意形成に膨大な時間を要するという新たな課題が露呈しました。この計画策定の遅れによる「時間のロス」が、被災地域からの人口流出と産業衰退を加速させるという、深刻な副作用を招いたのです。
  • 南海トラフ地震では、最悪の場合、最大52,000人の災害関連死が発生すると予測されています。もはや、これまでの「計画なき被災」とその後の「現場の善意」に依拠した事後対応を繰り返す余裕は、わが国には残されていません。
  • 私たちは、31年前と15年前の痛切な教訓を糧に、被災前から創造的な復興ビジョンを合意し実践しておく「Build Back Better Before(4B)」へのパラダイムシフトを提唱します。事前の58兆円の投資が将来の161兆円の損失を防ぐという確かな投資対効果(ROI)に基づき、官民が連携して「4B」を完遂することこそが、わが国を「衰退の道」から「持続可能な成長」へと引き戻す唯一の道であると確信しています。

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以上