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提言・アピール

「日本経済の進路と戦略」に対する緊急提言
~首相のリーダーシップで再び「経済一流国家」への途を~

2008.01.01update

2008 年1月 22 日
社団法人関西経済同友会

経済政策委員会

大田経済財政担当大臣は、今月18日、通常国会冒頭での経済演説で、「もはや日本は『経済は一流』と呼ばれる状況ではなくなった」と述べ、国際的地位が長期低落を続ける日本経済について、危機感あふれる異例の問題提起を行った。

同日、閣議決定された「日本経済の進路と戦略~開かれた国、全員参加の成長、環境との共生~」(以下、「進路と戦略」)は、福田政権として初めて、経済財政政策運営に関する中期的な基本方針と展望を示したものであるが、果たして、大田大臣が表明した危機を突破できる内容であろうか。われわれにはそうは思えない。

「進路と戦略」は、わが国が目指すべき経済社会の姿として、①成長力の強化、②地方の自立と再生、③安心で信頼できる財政、社会保障、行政の構築、の3つを掲げ、その実現に向けて、①適切なマクロ経済運営、②成長力の強化と財政健全化を車の両輪とする改革の更なる推進、の2点が必要としている。こうした基本的な方向性は概ね妥当と考えられるが、その中身をよくみると、抽象的な考え方や理念を述べるにとどまっている部分が多く、具体的な政策や戦略は乏しいといわざるを得ないからである。

一方、福田新政権発足後の政策運営をみると、「ねじれ国会」の下で、目先の問題に捉われ、長期的な課題である改革の遅れや後退が目立つ。この間、わが国の株式市場は大幅に下落しているが、これはサブプライムローン問題の拡大などに伴う景気の下振れリスクに加え、政治の混迷と改革の後退によって、わが国に対する内外からの信頼が失われつつあるためと考えられる。

そこで、以下、われわれは、「進路と戦略」の3つの柱について、具体的な政策を緊急提言する。特に、①景気の下振れリスク、財政再建遅延の懸念などを踏まえた新たな成長戦略の立案・遂行、②徹底した歳出削減と成長戦略による、増税なしでの2011年度基礎的財政収支黒字化の達成、③地方の自立のための本質的解決策である地域主権型道州制の実現、の3点を強調したい。

福田首相は、「国民一人ひとりの目線に立った政策」を重視しており、「進路と戦略」においても、その意向が随所に反映されている。確かに、これまで進められてきた改革の歪みは是正する必要があるが、わが国が再び「経済一流国家」として世界から高く評価されるようになるためには、世界に向けて挑戦していく気概を取り戻し、改革を加速・深化させることが不可欠である。福田首相が本提言を真摯に受け止め、改革の更なる推進に向けて、強いリーダーシップを発揮されることを望むものである。