提言・アピール

「自立自尊」の気概ある国家を目指して

2006.05.01update

平成18年5月
社団法人 関西経済同友会

日本のあり方委員会

戦後60年を迎え、わが国の経済・社会構造が歴史的転換期にある今、これからの日本のあり方を考えることなしに、内外の諸課題、それも相互に影響し合い、複合化している重要課題を解決することはできない。グローバリズムが進展する一方で、ナショナリズムが高まりを見せる混沌とした世界の中で、日本と日本人は国家の将来像をどう見据え、国際社会のなかでどのような位置を占めていくのか。

本年の関西財界セミナーにおいて合意をみたように、われわれは、『自立自尊』の国家として、うちにあっては地域・個人が自立した活力ある社会を実現するとともに、そとにあっては国際社会の平和と安定に貢献することを目指す。

敗戦から60年、保守合同から50年が経過した。この間、われわれはこの国のあり方と正面から向き合うことなく過ごしてきたともいえる。昨年11月には、自民党の新憲法草案が立党50年の党大会で正式決定されるとともに、それに先立つ10月には、民主党の憲法提言が発表された。この機会をとらまえて、われわれ各人がこれからの「日本のあり方」と正面から向き合い、その主体的意思を明確にした上で、憲法をはじめとした国の基本的枠組みの再整備に向けた議論を始めるべき時にある。

関西経済同友会では、一昨年来「憲法改正問題研究会」を設置し、国家・社会像の基本となる憲法のあり方について、調査研究活動を行ない、昨年5月にはその成果を中間報告「国民的議論を巻き起こし、21世紀を強靭に生き抜くわが国の礎を」として取りまとめた。

本委員会では「憲法改正問題研究会」での成果を踏まえ、昨年6月以来、これからの「日本のあり方」を、われわれが現実に直面する具体的問題に即しつつ、論点を大きく切り出して検討を行なってきた。本提言が、憲法をはじめとする国の基本的枠組みや、「個人」と国、地域、家庭をはじめとする「共同体」との関係についての活発な国民的議論の一助となることを期待している。