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提言・アピール

【提言】民間の活力で、関西における災害へのレジリエンス・トランスフォーメーション(RX)を実行せよ

2022.04.07update

一般社団法人 関西経済同友会
関西都市強靭化委員会

関西経済同友会 関西都市強靭化委員会(委員長=宮川正 大阪ガス 代表取締役 副社長執行役員、上村多恵子 京南倉庫 代表取締役、鈴木博之 丸一鋼管 代表取締役会長兼CEO )は、提言「民間の活力で、関西における災害へのレジリエンス・トランスフォーメーション(RX)を実行せよ」を取り纏めました。

■概要

・本提言では、大阪・関西が直面する災害リスク、とりわけ南海トラフ地震に焦点を当て、関西の企業人としての立場から国・自治体と民間企業の対策を調査・研究した。

・大災害に向けて企業は、「自助」による防災・減災対策を推進することはもとより、地域社会の防災活動、津波避難や帰宅困難者対策への協力など、「共助」にも積極的に取り組むべき。

・被災後の復旧・復興のフェーズでは、行政主導の旧来の大規模で計画的な復興よりも、民間の力も活用した迅速な復旧の実現や、適宜、柔軟に見直されるアジャイルな復興が求められる。

■提言

提言① 地域住民や関西企業の意識・行動変容(トランスフォーメーション)の促進
【行政】南海トラフ地震臨時情報の「事前避難対象地域」の指定地域へ、大阪府の市区町において津波リスクの高い海抜ゼロメートル地域等を追加し、定期的な住民の避難訓練を行う他、アカデミアとも連携し、多様な媒体を通じて意識変容を促すべき。特に、都市部では垂直避難が必要であり、津波避難ビルへ誘導する避難用アプリの活用等によって、個人の行動変容も実現させるべき。
【行政】津波避難ビル・帰宅困難者受け入れ施設を拡充させるため、指定された施設へのさらなる容積率緩和や固定資産税減免等の措置の拡充を実施すべき。


提言② インフラ・ライフラインの強靭化:協議会の設置
【行政/企業】行政の主導により、インフラ・ライフライン民間企業の関係者を糾合した協議会を設置し、常時、参加者同士の情報交換ができるネットワークを構築すべき。また、特に老朽化が進む水道管の更新や貯水槽の設置を早急に行うべき。


提言③ 関西企業によるBCP策定・更新の促進と、防災投資に対するインセンティブの付与
【企業】社員の安否確認、耐震化推進や防火対策の他、サプライチェーンも考慮したBCP策定を加速させ、それに基づく実地訓練を実施すべき。
【企業】人材面のボトルネックを解消するため、BCP標準ツールを参考にするとともに、中小企業団体の経営指導員や民間企業のコンサルタントによるBCP策定・更新サポートを利用できる機会を積極的に活用すべき。
【企業】企業同士が取り組むべき防災対策やBCP課題を共有する場を設定し、その内容を深化させるべき(工業団地の工場同士や商業ビルのテナント同士の協議等)。
【行政】統合報告書における防災関連の記載について、金融庁ガイドラインに基づくルール化を進め、行政がその記載事項や指標を示し、企業の防災投資を促進すべき。


提言④ 関西の地域社会・経済の防災力を向上させる「新しい共助」へのトランスフォーメーション
【行政/企業】住民の発意により策定可能な「地区防災計画」へ関西企業が積極的に参加し、自社施設への避難住民の受け入れや、地域の防災訓練への参画を図るべき。その際、関係者間の利害調整には行政も仲立ちすべき。
【企業】「地区防災計画」の策定・実行の担い手となる人材として、企業OBへも働きかけるべき。
【企業】都市再生法に基づく「都市再生安全確保計画」の策定に、関西企業で構成される地域まちづくり団体が協力し、防災連絡網の作成とともに、帰宅困難者の受け入れに係る自社施設の開放を進めるべき。


提言⑤ 新しい防災関連技術の開発・普及
【行政】災害対応のデジタル化を図るため、マイナンバーを活用して、災害支援金給付の迅速化や、避難所の割り振り、医療支援体制等に関する最適化を図るべき。
【企業】内閣府が整備した地方公共団体と民間企業のマッチングフォームを積極活用するため、関西企業も自社が開発した新しい防災関連技術を積極的に登録すべき。


提言⑥ 防災法制度の課題への対応
【行政】稀頻度大規模災害へ対応するため、災害対策基本法で公助を中心とした防災体制の限界について明記するともに、応急対策における「公助の現実」と「自助・共助」の対応を可能にする事前措置を定めるべき。
【行政】災害対策基本法には、災害応急時の私権制限、瓦礫や津波漂着物の処理等が規定されているが、災害時にこれらの規程が迅速に運用されるよう、大規模な訓練等を通じてシミュレーションを行うべき。
【行政】大規模災害復興法における復興計画のうち、被災前に比して被災地域を質的に向上させる「復興対策」には、被災企業の参画を促した上で、地域経済の将来像を描いて、地域を支える新たな産業立地、首都代替機能等の広範な検討が必要。そのため、当該計画は予め適切な時間を費やして策定され、かつ、適時、柔軟に見直されるアジャイルなものとすべき。
【行政/企業】スタートアップを含む多様な民間の主体が参加する、災害復興を前提としたワークショップを各自治体が開催すべき。その際、大阪が有する東京の首都代替機能の強化についても考慮すべき。

以上

提言・アピール

民間の活力で、関西における災害へのレジリエンス・トランスフォーメーション(RX)を実行せよ