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提言・アピール

いかなる危機にも揺るがない国づくりを
~東日本大震災の教訓を糧に~

2012.05.11update

2012年5月
一般社団法人 関西経済同友会

国家の危機管理を考える委員会

我が国は、世界的にも稀なほど様々な災害の脅威に晒された国である。それゆえ、想定される災害について一定の対策はなされてきた、と誰もが信じていた。

しかし、東日本大震災は、人々の尊い命や財産、地域社会に癒すことのできない被害をもたらしただけでなく、我が国の危機管理体制が極めて脆弱なものであったという冷厳な事実を突き付け、私たちの安全信仰を打ち砕いてしまった。

しかも、私たちを襲い、国家の存亡にまで関わる危機的事態は、大災害だけではない。戦争やテロのような国家そのものへの攻撃はもちろん、感染症の蔓延や、エネルギー源の供給途絶など、いざ発生すれば国家運営に致命的な打撃となる事態は数多く存在する。でありながら、我が国は、そして私たち自身も、それらの危機を今ここにあるものとして認識し、体系的・実践的に備えようとしてきたとは到底言い難い。むしろ、見たくないもの・考えたくないこととして、遠ざけてきたのが実相であろう。

次に事が起こった時、私たちはまた想定外の事態と言い、目を伏せるのだろうか。東日本大震災による数多の犠牲者・被災者に思いを馳せるとき、「過ちを繰り返さない」ため、今、何をなすべきかを真剣に考え、行動に移さねばならない。

危機は「どこか」「遠い未来」にあるものではない。あらかじめ打診もしてくれない。そして何より、国家を襲う危機に立ち向かう主体は、誰あろう私たち自身なのである。危機管理のための法制度、組織体制など、今後解決すべき課題は多々あるが、私たち自身が解決を求めなければ何も変わらないだろう。国家の危機管理を考えるということは、私たちが長らく慣れ親しんだ、どこかの誰かが何とかしてくれるだろう、という意識を捨てることであり、私たちと国家との関係を問い直すことでもある。明日襲い来るかも知れない危機に立ち向かうため、私たちの強い覚悟と実行力が問われている。

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