提言・アピール

インバウンドを支える「安心・安全な関西」の構築に向けて
~被災した外国人旅行者が本当に求める対策とは~

2020.03.03update

一般社団法人 関西経済同友会
関西レジリエンス委員会

 関西経済同友会関西レジリエンス委員会(委員長=八嶋康博 関西電力 (株) 常任監査役)は、提言「インバウンドを支える『安心・安全な関西 』の構築に向けて~被災した外国人旅行者が本当に求める対策とは~」を取り纏めました。

1.問題意識
 関西経済の相対的な地位が低下し続ける中、インバウンドの拡大が続いている 。大阪・関西万博の開催等、今後数年間は、関西経済飛躍の絶好の機会であり、大規模な国際イベントの連鎖をインバウンドの拡大につなげていかなければならない。一方で、近年、自然災害が多発し、今後も、広域かつ大規模な自然災害の発生が危惧され、インバウンドへの影響が懸念される。
 そのような中、本委員会では、「安心・安全な関西」の構築に向け、被災時の外国人旅行者等にとって適切な対応を検討し、これを内外にアピールすることで、インバウンドのさらなる拡大につなげるための方策を検討する。
2.提言
【1】被災した外国人旅行者を、官民が総力を挙げて支援するために
(1)官民一体となって支援強化に取り組むため、政府は、「観光立国」を目指して、各省庁間で連携し、外国人旅行者支援の充実に向けた施策の強化を図る。
(2)企業は、インバウンドの拡大に資するため、各事業活動の中で、外国人旅行者に対する支援方策の具体化・強化を図る。
【2】より多くの外国人旅行者が、きめ細かく的確な情報を入手するために
(1)政府は、JNTOを中核にした「オールジャパン・フォーリンツーリスト・プラットフォーム(AFP)」を構築し、情報ハブ機能の一元化と広域化を図るとともに、その認知度を高める方策を展開する。
(2)情報ハブ・情報伝達者は、多言語サイトの充実や地図等を活用した分かりやすい表示の工夫等、多言語化の推進と利便性向上を図る。
(3)施設管理者は、対面、館内放送、案内板等、多様な手段を活用したきめ細かい情報伝達を図るとともに、多言語化の推進と案内記号やピクトグラム等、非言語情報の活用に努める。
【3】より多くの外国人旅行者が、安心・安全に滞在して帰国するために
(1)宿泊事業者の災害対応が持続可能な取組みとなることを目指し、政府・自治体・業界団体が連携して、宿泊事業者の災害対応力を評価・公表することで、ブランド価値の向上につながる 仕組みとして、「外国人旅行者 安心安全格付け制度」を構築する。
(2)宿泊事業者は、事業継続計画や外国人旅行者に特化した支援策の策定に取り組み、自治体や業界団体は、連携してその指導や支援を行う。
(3)自治体は、外国人専用の避難所を整備するとともに、災害時の人手不足への対策として、外国人居住者のボランティア活用を目指した登録制度の構築や研修・訓練の実施、マネジメント人材の育成に取り組む。
【4】今、「安心・安全な関西」を内外にアピールするために
(1)ワールドマスターズゲームズに向けて、関西広域連合が実施している訓練に、外国人旅行者対応を加え、関西が一体となった「関西広域応援訓練2.0」を実施し、関西の災害対応力を世界にアピールする。
(2)大阪・関西万博に向けて、関西が一体となり、段階的に災害対応力を強化していく中で、PRの一環として、安心・安全な関西の構築を目指した「関西インバウンド安心安全宣言」を発信し、万博を契機としたさらなるインバウンドの拡大に結び付ける。

以上

提言・アピール

インバウンドを支える「安心・安全な関西」の構築に向けて ~被災した外国人旅行者が本当に求める対策とは~