• Home
  • 提言・アピール等
  • 今こそ関西がカーボンニュートラルバリューチェーン構築を主導する! ~万博を機に、理想から実装・実商、儲かるビジネスへ~
提言・アピール等

今こそ関西がカーボンニュートラルバリューチェーン構築を主導する! ~万博を機に、理想から実装・実商、儲かるビジネスへ~

2026.04.07update

一般社団法人関西経済同友会
カーボンニュートラル委員会

関西経済同友会カーボンニュートラル委員会(委員長=梶村毅 日本政策投資銀行 常務執行役員関西支店長)は、提言「今こそ関西がカーボンニュートラルバリューチェーン構築を主導する!~万博を機に、理想から実装・実商、儲かるビジネスへ~」を取り纏めました。

Ⅰ.気候変動を取り巻く環境

1.地球温暖化の現状

  • 地球の気温上昇は1980年以降顕著であり、2024年は観測史上最高の平均気温(産業革命以前比+1.55℃)となり、海面上昇などの温暖化を起因とする変化が人類へ様々な影響を与えている。
  • 人為的な温室効果ガスの排出が0になったとしても、自然発生による排出もあり、気温は高止まりすることが予想されている。
  • 平均気温が+2℃を超えると、赤道付近では人類を含む生物の存続危機となり得る。

2.国際情勢の変化

  • 世界では気候変動に加えて地政学リスクの高まりや格差拡大など様々な社会課題を抱える中で、従来の資本主義のあり方が見直され、政府と企業の関係性が変わりつつある。
  • ルールメイキングや成長戦略の方向付けなど政府の役割が拡大する中で、新たな官民連携に基づく新しい経済秩序の構築が模索されている。
  • 温暖化対策は、一足飛びの「脱炭素」から、高効率化や天然ガス活用による「低炭素」へのトランジションを経由する方向に変化。今やれることからやるという現実性がより高まった着実な前進へ。

3.国内動向

  • 日本においては高市政権の戦略分野の1つに「資源・エネルギー安全保障・GX」が掲げられた。カーボンニュートラル関連政策において安全保障がより強調され、今後はエネルギーの自給自足を推進し、脱化石燃料やカーボンニュートラルエネルギーの地産地消を拡大させていく。
  • 国際情勢が変化する中でも、地球温暖化の現状やエネルギー安全保障、産業競争力の観点から日本はブレずに前進することが重要である。
  • カーボンニュートラルには、カーボンニュートラルエネルギーの輸入、国内各地でのエネルギーの地産地消、CCSやカーボンクレジットを組み合わせる。

Ⅱ.関西がカーボンニュートラルバリューチェーン構築を主導する

1.関西のポテンシャル

  • 関西は蓄電池や帯水層蓄熱システム、ペロブスカイト太陽電池、水素、e-メタン、核融合など脱炭素先端技術の集積地である。
  • 産業や都市を抱えるエネルギー大消費地でもあり、創出したエネルギーは十分に消費できる。

2.大阪・関西万博での実証・技術展示

  • 様々な脱炭素技術が導入された大阪・関西万博は、技術リーダーと実装ショーケースで世界を引き付ける地域へのチャンスである。

<大阪・関西万博で導入・展示された技術の一例>

・会場冷房用として帯水層蓄熱システム導入
・ペロブスカイト太陽電池の導入(西ゲート交通ターミナルへの設置など)  
・水素燃料電池船「まほろば」の運航
・メタネーション(e-メタン製造技術)の実証
・核融合に関するブース展示
・直接空気回収(DAC)の実証
・大屋根リング(木材活用)

3.目指す方向性

  • 万博のチャンスを活かし、カーボンニュートラルを理 想から実装・実商、儲かるビジネスへ変える。
  • 本提言ではペロブスカイト太陽電池と水素・e-メタン、核融合に焦点を当てる。
  • 全国に先駆けてまずは関西で実装し、これをモデルとして全国に広く展開していく。展開にあたっては、個社単位でなく、バリューチェーン一体で行う。


4.カーボンニュートラルバリューチェーン構築の意義

  • 取り組みを点から線へ、線から面での取り組みとして捉え、連携し脱炭素前提のバリューチェーンを構築することにより、初期需要獲得と見える化/ブランド化で実商化し、利益化の壁をいち早く突き抜ける。
  • 技術保有企業の努力を、民民連携(タテヨコ)、官民 連携(規制緩和・ルール・初期需要)、地域間連携(国内・国際)、情報発信(toC・toB)で加速させる。

5.目指すべきカーボンニュートラルバリューチェーンの姿と課題

利益や負担が偏らない、ステークホルダー全体が
脱炭素価値を実感する持続可能なバリューチェーンを構築すべき

■本提言で焦点を当てる技術の主な課題

ペロブスカイト太陽電池

技術(量産等)確立/初期需要の確保/使用後の廃棄物(循環)/ルール(建築規制)/脱炭素価値の見える化

水素・e-メタン

初期需要の確保/ルール(CO₂カウント)/脱炭素価値の見える化

核融合

技術確立(発電実証)/初期需要の確保/資金調達/人材育成/技術の正しい理解醸成/予見可能性高めるルール

Ⅲ.提言

関西の脱炭素先端技術が実装・実商され、儲かるビジネスとなるカーボンニュートラルバリューチェーンを構築するため、すべてのステークホルダーが行動を起こすべき。

提言1 関西の技術を中心に企業が連携し、儲かるバリューチェーンの構築を!

提言先:企業

(1) 技術保有企業中心に、上流・下流企業も含めた一気通貫でコスト競争力あるバリューチェーンの構築
  -技術保有企業による中長期のマイルストーン提示や契約等
(2) 資源の自律性や循環利用で高い持続可能性を持つ、プロダクトやバリューチェーンの設計
(3)消費者やステークホルダーが脱炭素価値を実感できる評価ルールの構築とブランディングの深化
  -CO₂排出削減量の明示や体験型・参加型のイベント開催等     
(4)海外企業に後れを取らない、国内勢による核融合ベンチャー積極投資フュージョンエネルギー導入

提言2 他地域へ仲間の輪を広げ、関西の技術のバリューチェーンを全国・世界で構築を!

提言先:自治体、関連団体

(1)自治体やカーボンニュートラル推進団体間で、現状や政策について情報共有や連携
(2)地域を超えた連携に取り組む企業に対し、連携候補や政策情報のワンストップ提供

提言3 関西の技術を生かす政策イノベーションで、世界一の脱炭素ビジネス基盤構築を!

提言先:国、自治体

(1)儲かるバリューチェーンへの企業のリスクテイクを後押しする長期的・俯瞰的なビジョンの提示
  -コミット力の高い供給目標やバリューチェーン戦略等
(2)関西新技術の良さが生きる国内・国際的な技術標準化ルールメイク
  -同一規格策定、規制緩和や見直し、予見可能性を高める新ルール策定等
(3)「夢洲カーボンニュートラルアイランド化」、政府による初期需要の創出
  -夢洲でのペロブスカイト太陽電池、水素、e-メタン、核融合等の標準装備化等
(4)産官学が連携して、ボトルネックのないバリューチェーンを創る世界最大・最速の支援実行
  -研究開発から量産、流通、規制、資金調達まで一貫した支援

おわりに

関西発のカーボンニュートラルバリューチェーン構築が進めば、さらなる新技術への広がり・全国や世界へのさらなる広がり・さらなる将来世代への広がりが生まれてくる。本提言が、そのような広がりのきっかけとなることを期待したい。

以上

提言・アピール等