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提言・アピール

「東日本大震災からの復興の加速に向けて」

2013.10.07update

平成 25 年 10 月 7 日
全国経済同友会震災復興部会

東日本大震災の発生から2年半余りが経過した。被災地では、今も多くの被災者が仮設住宅などで生活し、先の見えない暮らしを余儀なくされている。一日も早い復興に向けて、引き続き、官民を挙げた取り組みが必要である。

安倍政権は現場主義による復興を掲げ、福島復興再生総局の設置による除染作業の加速、復興予算の増額、省庁横断のタスクフォースの設置などの措置を講じてきた。これらの措置は徐々に成果を上げつつあり、ガレキ処理や道路・防潮堤などの再建が進んでいる。我々は政府の一連の取り組みを評価している。

 民間企業も復興庁や被災した自治体への職員派遣を進めるなど、一時的なものに留まらない復興支援活動を展開している。また、被災した企業の中にも、新規の事業分野への進出や新たな資金調達手法の活用、自主的な除染活動による早期の事業再開など、自らリスクを負いながら、本業を通じた復興への取り組みを進めているところもある。

ただ、被災地では、資材価格の高騰や人材不足などの問題も生じており、全般的に見ると復興は遅れていると言わざるを得ない。加えて、用地取得などの課題もあり、被災者の生活再建に直結する高台移転や災害公営住宅の整備は特に遅れが目立っている。地域の経済を下支えする地場産業の再生も順調に進んでいるとは言い難く、雇用環境は数値上、改善の動きが続いているとはいえ、一時的な求人が多く、依然として厳しい状況が続いている。そのため、東北地方太平洋沿岸が震災以前から直面していた若年人口の流出や労働力の減少といった課題は、一層深刻さを増している。

復興は、公共インフラの再整備にとどまるものではない。被災地において、将来にわたって、持続可能な地域社会が構築されることこそ真の復興であり、その鍵は、住民生活の基盤となる産業・雇用の確立に他ならない。

全国経済同友会震災復興部会では、こうした認識に基づき、これまでに実施した現地視察を踏まえ、復興の加速に向けて以下の通り提言する。