提言・アピール

大阪府政改革に対する要望書

2004.02.24update

平成16年2月24 日
社団法人 関西経済同友会
代表幹事 寺田 千代乃
代表幹事 奥田 務

拝啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたびの選挙において幅広い府民の信託をあらためて受けられ、これからの4年間、これまで以上に厳しいご覚悟で大阪府政運営の総責任者として重責を担われることに、深甚の敬意をもって心よりお慶び申し上げます。

本会は、「府民の代表」であるべき知事の今回の選挙において、公開質問状、意見広告、政策討論会など様々な活動を行って参りました。その過程で、太田様からは、府政運営に対する基本理念、具体的政策目標等を詳細にわたり提示いただいたことに厚くお礼申し上げます。今後の府政運営に際しては、ご回答に謳われた『志はオンリーワンの大阪を創ること、原点は「現場主義」』という基本理念のもとに、府民との約束である政策目標を、戦略的かつスピーディに実行、実現されることを強く期待するところでございます。

われわれは、先の関西財界セミナーで例年以上に活発な論議を行い、別添のような合意事項を取りまとめました。その論議もふまえて、当会としての府政運営に関する要望を別記のとおり取りまとめさせていただきました。今後の府政運営のご参考にしていただければ幸いです。今後、府政運営にあたり知事のみならず幹部全員が、スピードを重視した「意思決定と実行」に徹し、一日も早くその成果を結実させるとともに、さらに『強い大阪』の実現に不可欠である大阪府の統治能力と政策実行能力の強化に向けた大阪府の組織の価値観、組織風土の大変革を、切望します。

ご高承のとおり、深刻さを増す大阪の長期的な衰退傾向を阻止し、府の財政再建団体への転落の危機を断固として打開するには、現在漸く兆しの見えてきた景気回復をバネに、何としても大阪の再生を実現せねばなりません。その意味で、これからのご任期の4年と言う歳月は、大阪にとりかけがえのない最後の挑戦の時と存じます。太田知事におかれては、思う存分に敏腕をふるわれますように心より期待しております。

知事選で吐露されました太田知事の大阪への熱い思いは、われわれも思いを同じくするものでございます。ご就任直後からも「現場主義」を日々、実践されておられることに心から敬意を表するとともに、思いと志を同じくするものとしてわれわれ経済人は出来る限り強力な連帯行動をとって参ります。

何卒ご理解、ご協力を賜りますようによろしくお願い申し上げます。

敬具

  1. 「府民の代表者」として強力なリーダーシップを発揮されますことを要望致します。
    太田知事には、強力かつ大胆なリーダーシップを発揮されることを期待します。
    とりわけ財政再建という最大課題のため、行政固有のやり方、しがらみを打破し、抜本的な民間委託、公営事業の民営化、府有財産の売却等をはじめ民間の発想や知恵を十二分に活用して、すべてを大胆に見直す行財政改革に取組まれますことを心から期待しております。そのためにも、現在政府が進めているCIO(情報化推進統括責任者)に呼応して、民間から有能な人材をCIO補佐官として副知事に積極的に登用し、スリムでスピーディかつ実行力のある府政の実現に向け、仕事と組織を民間と同様ゼロベースで抜本的に見直されることを強く要望します。その結果、捻出された人材は、知事の言われる「現場主義」にたち、府民のニーズの高い行政の最前線に投入していただくことを期待します。
  2. 府民を巻き込む「情報公開」と職員の意識改革を基本においた府政改革の断行を要望いたします。
    さらに、府政に関する徹底した情報公開の断行を要望します。「株主である府民」の理解と支持なくして改革は成功しません。知事の最も強力なパートナーである府民とともに進むためにも、情報公開を断行されることが必須であります。第二に、緊縮財政下『予算がない』ことが何も行動しないことの言い訳に堕していることがあるものです。現状の「府組織の目詰まり、縦割りの硬直性、職員の無力感、自信喪失感を打破することが必要です。
    職員の「意識改革」が大阪の強力な統治能力確立のための大前提であり、そのためにも健全な危機意識の形成と競争原理の導入による組織風土の変革が重要と存じます。
  3. 「大阪活性化戦略の実行」を要望いたします。
    上記の歳出面のみならず、大阪府の活力をよみがえらせて財政基盤の弱体化を阻止し、強化していく「大阪活性化戦略」による大阪経済の再生が不可欠であります。そのためには抜きん出たインセンティブの高い産業政策により、まず既存企業の中枢機能、製造現場の域外への流出を阻止し、内外からの投資誘致、企業立地をはかるとともに、関西に広がる科学・技術の厚い集積を大阪の新しい産業に結びつけることが喫緊の重要課題です。さらにアジアにおける関西・大阪の存在価値を高める最大の武器であるべき関西国際空港をはじめ大阪のあらゆる地域資源・ポテンシャルをフルに活用して、大阪という地域ブランドのプロモーション、集客観光をこれまで以上に積極的に進めていただきたく要望します。
  4. 「安全・安心で美しい大阪づくり」に取組まれることを要望いたします。
    大阪の治安、犯罪対策は焦眉の急を要する重大な課題です。そのため、厳しい財政下ではありますが、犯罪抑止力となる大阪府警察本部の警察官の大幅増員による安全・安心な街づくりと環境・景観対策による美しい大阪づくりに強力に取組まれるように要望します。

おわりに
改革断行のためには、政治・行政・企業・市民が文字通り一丸となって取り組むことが必要です。太田知事におかれては、中央集権的な画一的行政の病弊から一日も早く脱するため、『地域主権』の精神に立脚する「関西州」実現に向けて、その先頭に立ち行動していただくことを強く要望します。

以上