提言・アピール

政府の公的年金改革の方向性に断固反対する

2003.12.16update

平成15年12月16日
(社)関西経済同友会
代表幹事 寺田千代乃
代表幹事 奥田 務

  • 本会は、少子高齢社会を迎えて持続可能な年金制度を構築するため、現行の「段階保険料方式」に変わる抜本的な公的年金改革案「’04年公的年金改革に望む~負担を先送りする制度設計から訣別し、制度への信頼を取り戻そう~」を11月11日に提言・公表した。将来に向かって保険料を段階的に引き上げていく現行制度では、世代間の不公平が拡大し続け、その負担に個人も企業も耐えられないからである。
  • しかるに、現在政府が検討を進めている改革案は、既にその限界が明らかとなっている段階保険料方式を変えることなく、被用者年金の保険料の法定上限を何%と法定するか、それとの関係で所得代替率をどうするかといった、単なる数字の辻褄合わせに終始しており、国民が求める将来不安の解消、世代間不公平の解消等に何ら応えるものとなっていない。
  • 失われた十年から脱却する兆しが見えた今こそ、既成の枠組み、既得権益を打破し、少子高齢社会、成熟社会に耐えうる年金制度の構築のためにも、現行の未納者問題、基礎年金制度間の不公正問題、我が国の活力を支える企業の負担増の問題など、広く国民に議論を起こし、21世紀の我が国のあり方、受認すべき国民負担のあり方などを明らかにすべき時である。
  • 特に「報酬標準月額上限を引き上げるが当該保険料分については給付へ反映せず」と言った提案に至っては、税・保険の役割・体系を破壊する、正にご都合主義以外の何ものでもないと言わざるを得ない。
  • 以上、今年金制度改革については、その内容及び進め方とも、全く承服し難いものであり、これが法定されることとなれば、国家百年の計を誤るのみならず、政治への根本的な不信を招来することをも深く憂慮せざるを得ないところである。
  • 本会は現改革案に断固反対するとともに、改めて2005年へ長期的な改革策の策定を遅らせてでも、抜本的かつ構造的な年金改革案を、党の枠組みを超え国民各層が広く参加する中論議・構築すると言う、政治の英断を切に望むものである。

以上