提言・アピール

新市長への7つの要望

2005.11.28update

2005年11月28日
社団法人関西経済同友会
代表幹事 松下正幸
代表幹事 森下俊三

関西経済同友会は、大阪市の行財政改革に関し、提言活動やトップ同士の意見交換等を通じ、常に改革を応援する立場から意見提起を行なってきた。今回の市長選挙で、関市長が再任されたことは、かねてからの改革路線が、市民からの信任を得たものと判断され、大変喜ばしい。
今後の改革は、先に示された「市政改革基本方針(旧市政改革マニフェスト)」が出発点になると思われるが、当会の緊急提言(9月1日)の内容が十分に反映されていない点、さらには、改革の基本方針として踏み込みが不十分であると思われる点について、以下7項目にとりまとめた。今後の検討にあたり、確実な実行を強く要望する。

  1. 高い理念と目標を掲げ、実効性ある改革を断行せよ
    改革の目標値を「身の丈行政」におくのではなく、政令指定都市トップの効率的な行政を目指すとともに、魅力と活力ある国際都市に飛躍するため高い理念に根ざした大阪の長期ビジョンを確立すること。また、行政職員の裁量の余地を残した表現を改め、具体的な目標または検討の方向性について明示し、実効性を担保すること。
  2. 市政情報ならびに出資等法人の情報を全面公開せよ
    市政情報はもちろん、監理団体等出資等法人を含めたあらゆる情報に関し、原則、能動的な全面公開を行い、一部でも非公開とする場合には、市長決裁とすること。また、労働組合との協議内容についても全面公開することで、労使の正常な協調関係を構築すること。
  3. 人件費の大幅削減を実施せよ
    年俸引下げと業績連動型の給与制度の構築、規模とスケジュールを明示した希望退職の確実な実施、必要に応じて分限免職による人員削減を行うことなどにより、人件費を大幅に削減すること。
  4. 現業部門等の民間委託を2年以内に実施せよ
    学校給食、ゴミ収集等の現業部門ならびに監理団体へ委託している業務等、民間委託が可能な事業すべてについて、早急に市場化テストを実施し、民間委託を行なうこと。また、民間委託する場合には、当該業務に携わっていた職員の出向・転籍を行なうこと。
  5. 公営企業等の民営化、独立行政法人化を2年以内に実施せよ
    公営企業が行なっている交通事業や水道事業、直営で行なっている病院事業等については、経営形態見直しの検討ではなく、原則、すべて民営化または独立行政法人化を行なうこと。さらに、上記第4項も含め、これらの実施にあたっては、タイムスケジュールを明示すること。
  6. 助役を含め行政幹部へ民間等の人材を積極的に登用せよ
    助役及び行政幹部に民間からの人材を登用し、民間の視点を取り入れた改革を行なうことで組織と意識の改革を断行すること。民営化等により経営形態を改めた団体のトップについても、原則、民間人を登用すること。
  7. 市長自らが強く議会改革を促せ
    議員定数ならびに議員報酬の削減、政務調査費の使途についての全面公開、議員活動ならびに委員会を含めた議会の情報公開などの議会改革について、議案提出権を有する市長自らが、積極的に取り組むこと。
    関西経済同友会が、大阪市の改革を支援する姿勢に変更はない。これまで同様、有識者会議や市政改革懇談会という枠組みでの率直な意見交換を通じ、新市長とともに、より良い大阪市の実現に積極的に取り組んでいきたい。

以上