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提言・アピール

新政権に望む「政治のリーダーシップで新しい国づくりを」
~ 政権交代にあたって ~

2009.09.01update

平成21年9月
社団法人 関西経済同友会

日本の政治を考える委員会

今回の衆議院選挙は、民主党が圧勝し、同党を中心とした新政権が誕生することとなった。民主党の手腕は未知数であり、政権与党として今後乗り越えるべき課題が山積してはいるが、わが国の政治体制という側面からみれば、これまでの自民党一党優位体制から政権交代が起こり得る体制へと、改めての一歩を踏み出したことは評価できる。

東西冷戦構造の終焉と、それに伴う急速なグローバル化の進展、さらにインターネットに代表されるIT技術のめざましい進化は世界中のあらゆる分野に大きな影響を及ぼしている。昨年来の米国金融危機に端を発した世界同時経済危機に象徴されるように、既成の価値観や概念では対処できない“不透明な時代”を果敢に乗り越えていくための政治のあり方が問われている。

一方、わが国においては、戦後60年以上が経過する中で、これまでの経済成長や国民生活を支えてきた様々な制度やしくみに歪みが生じ、国全体に閉塞感が漂っている。少子高齢化の進行、経済成長率や国際競争力の低迷、国家財政の逼迫といった現状を見ると、かつての経済大国としての輝きはもはや失われているとみるべきである。このような時こそ、「政治のリーダーシップ」が発揮されなければならないが、わが国の政治の現状を見ると、そうした国民の期待からはかけ離れた状況にある。政党は「党利党略」、政治家は「選挙」、そして官僚は「省益」を追求することが目立ち、「国益」や「国家戦略」といった視点は完全に忘れ去られている。

明治維新から140年、終戦から60年以上が経過する中で、中央官僚主導制に象徴される、時代に合わなくなった国家のシステムを根本から見直し、わが国の将来の「国家ビジョン」を明示し、新しい「国のかたち」や「しくみ」を構築していくのは、まさに政治の役割にほかならない。

新政権は、総選挙で示された国民の期待に応えるべく、また、1990年代における政権交代時の政治混乱の轍を踏まないためにも、今後の政権運営に以下の諸点を盛り込み、強いリーダーシップを発揮してもらいたい。