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提言・アピール

財政再建に向けた歳出・歳入一体改革
~一極集中を是正し、消費税は成長戦略と財政再建の財源に~

2012.04.04update

平成 24 年(2012 年)4月
一般社団法人 関西経済同友会

経済政策委員会

加速度的に増幅するわが国の財政破綻リスク
~2020年を待たずに到来する可能性のある日本国債の信用危機~

わが国財政はまさに危機的状況にある。少子高齢化の進展に伴う社会保障費の増加により歳出は増加の一途を辿り、長引くデフレ経済等で税収は減少傾向にある。2011年度は歳出額の4割余りしか税収を確保できず、不足する歳入は毎年赤字国債を発行して補うことが常態化した。その結果、国・地方の借金はGDPの200%を超える異常な水準に達している。

このような危機的状況の中、これまで日本国債が信用を維持できたのは諸外国との相対的な理由による面が大きい。欧米の財政危機が深刻化する一方、豊富な家計資産を背景に9割超が国内消化される国債は「安全資産」とされてきた。しかし状況は足下で急速に悪化しつつある。

欧州財政危機の波及やわが国の経常赤字転落への懸念等を契機に、国債の「安全神話」は崩れ始めている。欧州ではイタリアやフランスが財政再建に向けて増税と歳出削減を打ち出す等、着実な取り組みを進めている。ここでわが国が消費税増税の議論を先送りすれば、一気に市場の信認を失うことになる。そもそも2020年問題(長期債務残高と家計資産の逆転)が見通されており、国債の国内消化に懸念が生じれば雪崩をうって信用不安が現実化し、長期金利の急激な上昇等を通じて2020年を待たずに財政破綻が引き起こされる可能性がある。

今が財政再建に取り組む最後のチャンスである。震災復興に向けた予算・税の枠組みが決まり、既に復興需要が本格化する中、財政の構造的課題の解決にも同時並行で取り組む必要がある。本提言で述べる歳出・歳入一体改革と東京一極集中の是正により、持続性のある社会保障制度と国づくりが求められる。復興需要による景気浮揚が見込める今こそ改革を断行しなければすべてが手遅れになる。