関西経済同友会とは

前年度事業報告

平成30年5月15日
通常総会報告

一般社団法人関西経済同友会 平成29年度事業報告

一般社団法人 関西経済同友会

 平成29年度は、「未来社会の仕組み創りと成長を担保する提言と活動を行う」をテーマに、「未来に希望の持てる健全な国・社会の実現を目指す」「大阪・関西の更なる活性化、独自性を発揮する」「同友会の未来を創る」を重点課題と位置付けた。過去に本会が蒔いた幾つもの種が、弛まぬ活動の成果として、蕾となり、開花しようとしていることを踏まえ、更なる飛躍に向けた新たな種蒔きとなるよう、積極的な提言と活動を行った。

【役員会等の運営状況】

 本会は、一般社団法人として一般社団・財団法人法及び、新しい定款、規程・規則などに基づく運営を行った。
 平成29年5月16日に通常総会を開催し、平成28年度決算を承認、平成29年度理事・常任幹事・幹事を選任するとともに、理事会に推薦する代表理事・業務執行理事候補者を選出した。また、幹事会での審議を経て、理事会で承認された平成28年度事業報告、平成29年度事業計画書及び収支予算書などについても報告がなされた。
 理事会は、4回開催した。平成28年度事業報告、通常総会に付議する平成28年度決算案の承認、代表理事・業務執行理事の選定、補充する幹事の選任、職務執行状況の報告、平成29年度事業計画書及び収支予算書の承認など、一般社団・財団法人法や定款などで定める項目を審議した。
 本会の運営全般について意思決定を行う幹事会は、8月を除く毎月1回開催し、提言案などの審議、月次収支報告などを行った。加えて、テーマを掲げての意見交換も適宜行った。常任幹事会も、8月を除き月1回(3月のみ2回)開催し、幹事会の議案の事前協議を中心に討議を行った。
 また、通常総会パーティ、歴代代表幹事との懇親懇談会、放談会、女性会員と語る会、新入会員との懇談会などを開催し、会員の交流、親睦を図ることにも努めた。

【委員会等の活動(1):同友会全体としての活動や課題に取り組む組織の活動】

① 総合政策審議会

 発信力強化、提言などの実現性・実効性の向上などに向け、政治家との意見交換を行った。

② 調査企画部会

 諮問なし。

③ 経済同友会連携会議

 西日本を中心に、京都、神戸、中部など他の経済同友会と連携し、以下の会合などを開催した。
・第4回西日本経済同友会代表者会議(7月14日 於:大阪市)
 西日本の18地区経済同友会から、代表幹事及び事務局長等49名が参加し、「インバウンド4,000万人時代、『観光立国』日本の課題」をテーマに議論。地域を潤す観光コンテンツと担い手を生み出すDMOの役割を指摘するとともに①海空港へのアクセスやCIQ(税関・出入国管理・検疫)の整備等インバウンド受け入れ体制の構築 ②観光需要平準化のため、家族が休暇を取得しやすい制度の整備 ③同友会として観光の地域間連携に向けて協働する の3点を訴える共同アピールをまとめ、発表した。
・第115回西日本経済同友会会員合同懇談会(10月13日・14日 於:大津市)
・京阪神経済同友会代表幹事懇談会(11月13日 於:大阪市)
・全国経済同友会代表幹事円卓会議(12月4日 於:熊本市)
・第56回関西財界セミナー(2月8日・9日 於:国立京都国際会館)
 関西経済連合会と共催し、京都・神戸経済同友会などの協力を得て、関西の経営者約240名を含む、665名が参加した。AI、IoT等が産業のみならず社会に急速な変化をもたらす中、わが国は人口減少下で社会経済の活力維持・発展が求められるという他国に例を見ない課題に直面している。「いざ、舞台を関西へ~関西からはじまる未来社会のデザイン~」をメインテーマに、国際イベントを通じて描く関西の将来像、産業集積に向けたイノベーションを育む土壌づくり、文化×産業の力を活かした挑戦、戦略としての働き方改革、アジアにおけるビジネスメイキング、グローバル資本主義と21世紀の企業像、といった6つの分科会に分かれ、2日間にわたって討議し、最後にセミナー宣言をまとめ、発表した。
・経済同友会との東西首脳懇談会(2月19日 於:東京都)
・中部・関西経済同友会合同懇談会(平成30年4月3日 於:大阪市)
・6経済同友会(京都・神戸・滋賀・奈良・和歌山・関西)代表幹事懇談会(同4月16日 於:大阪市)
・第31回全国経済同友会セミナー(同4月19日・20日 於:宇都宮市)

④ 会員満足度向上委員会

 常任幹事会、幹事会、放談会の運営などについて改善に取り組んだ。

【委員会等の活動(2):主に特定事業の支援・実行に取り組む委員会の活動】

⑤ 海外交流委員会

 恒例の訪米代表団(10月21日~28日)の派遣、第25回ボストン・シンポジウム(10月23日)の開催に協力するとともに、委員会メンバーが参加した。3回の講演会(6月9日、9月4日、10月30日)を開催したほか、来阪した内外の政策担当者、海外交流組織との意見交換に努めた。
・第25回ボストン・シンポジウム(10月23日)
 「新たなグローバル・ガバナンスの追求」をテーマに、ハーバード大学ケネディスクール、ボストン日本協会と共催。本会からは鈴木博之・黒田章裕両代表幹事をはじめ総勢38名が参加。シンポジウム後にはボストン、ワシントンで視察を実施した。
 また、2回目となる関西・ハーバード フォーラムの平成30年7月開催に向けて検討を進めた。

⑥ メンタリング委員会

 大阪イノベーションハブと協力して、本会会員がメンターとしてベンチャー企業経営者に助言する関西ブリッジフォーラムを6回(5月17日、7月19日、9月20日、11月15日、1月17日、3月22日)開催した。

⑦ 大阪「食文化」プロデュース委員会

 来阪者を「おもてなし」の心で迎える大阪らしい食文化に関する調査・研究として、委員会会合1回(6月14日)、視察2回(9月12日、1月19日)と講演会1回(3月23日)を開催した。

⑧ 関西広域インフラ委員会

 委員会会合1回(6月26日)、四国新幹線整備などについて意見交換する「四国・関西経済同友会合同懇談会」(8月4日)を開催した。加えて、自治体や他の経済団体と共同で高速道路網、南海トラフ地震等に対する緊急防災対策促進などを求める要望活動を行った。
 また、中之島再生医療センター分科会では、講演会2回(9月15日、5月11日)を行った。

⑨ 関西2019・20・21委員会

 「カナダ・米国視察団」(10月4日~9日)を派遣し、生涯スポーツ文化を支える社会制度やマスターズ・ゲームズの運営手法などを調査した。しまなみ海道サイクリング視察(11月19日・20日)ではスポーツ体験にも努めた。ラグビーワールドカップ2019年大会をはじめメガスポーツイベントの機運醸成に向けては、ラグビー試合観戦(10月22日、1月8日)、講演会2回(12月14日、2月26日)を行った。また、委員会会合3回(6月12日、3月12日、4月16日)を重ね、その成果として、提言「『スポーツ都市KANSAI』に向けて~『スポーツの力』で企業と地域に元気を~」をとりまとめ、平成30年5月7日に記者発表した。

⑩ 芸術・文化委員会

 講演会2回(8月8日、4月10日)、視察・鑑賞会3回(10月2日、10月27日、3月16日)、委員会会合4回(6月20日、11月13日、3月20日、5月10日)を行った。「韓国文化視察」(10月6日~9日)を派遣し、文化で社会問題の解決に取り組む韓国の状況を視察した。
 「アーツサポート関西 (ASK)」に対する支援も引き続き行った。

⑪ お水汲み祭り支援委員会

 堂島薬師堂節分お水汲み祭り(2月2日)などの開催を支援した。

⑫ サイバー適塾支援委員会

 サイバー適塾の会員増強やカリキュラムの充実などへの支援を行った。

【委員会等の活動(3):国・自治体や企業等への提言を主目的とする委員会の活動】

⑬ 政治・社会問題委員会

 講演会5回(7月11日、9月4日、9月20日、11月14日、12月26日)、会合2回(6月20日、2月20日)を開催した。また、3月8日には、小林喜光 経済同友会(東京)代表幹事を招いての意見交換会も行った。次年度に予定する提言とりまとめに向けて精力的に活動した。

⑭ 安全保障委員会

 講演会3回(8月22日、9月13日、11月2日)のほか、海外調査、セミナー、シンポジウムの開催など精力的に活動した。
 「第16回大韓民国・台湾訪問団」(8月29日~9月1日)を編成し、韓国・台湾を訪問。韓国では、政府関係者、国会議員、外交・安全保障政策関係者らと懇談した。台湾では外交関係者、経営者と意見交換した。
 委員会会合を重ね、提言「外交力で強化する我が国の安全保障-日本はアジアでイニシアチブを発揮せよ-」をとりまとめ、1月24日に記者発表した。また、平成30年4月17日には、昨年に引き続き、経済同友会(東京)との意見交換も行った。

⑮-1 デジタル革命委員会 先端技術探求分科会

 講演会4回(7月27日、10月2日、11月15日、1月9日)、委員会会合4回の開催、スタッフによるヒアリングなど精力的に活動した。その成果を、提言「世界で進むデジタル革命のインパクトを知る~次のステージでの勝利を掴むために、新たなスタートを~」をとりまとめ、平成30年5月8日に記者発表した。

⑮-2 デジタル革命委員会 アジアのデジタル革命分科会

 講演会3回(9月22日、10月18日、11月1日)を開催したほか、「シンガポール・深セン・香港視察団」(11月19日~24日)を派遣し、アジアのデジタル革命の現状をヒアリングするなど精力的に活動した。そして、委員会会合を重ね、提言「アジアから見る日本のデジタル革命戦略~『10年後』では遅い、『5年後』を見据え今から意識改革を~」をとりまとめ、平成30年4月9日に記者発表した。

⑯ 経済政策委員会

 3回の講演会(7月25日、9月11日、11月20日)を行った。委員会での討議はタイムリーに行い、11月には提言「平成30年度予算・税制改正大綱に望む~成長戦略の実行とともに、財政健全化に道筋をつけて将来不安の払拭を~」をとりまとめ、11月2日に記者発表した。3月には提言「アベノミクス5年間の検証と我が国の生産性向上に向けて~付加価値の拡大・賃金上昇を伴う生産性向上~」をとりまとめて、平成30年4月3日に記者発表し、関係各方面へ訴えた。

⑰ 次世代志向の政策を考える委員会

 若者世代の有識者との意見交換会を含め、5回の会合(6月14日、7月21日、9月5日、10月4日、11月10日)、委員長スタッフによるヒアリングなど精力的に活動した。2年間の活動の成果として提言「『若者政策』を国家戦略の柱に!!~若者の自律を支え、人口減少による国力低下を乗り越える~」をとりまとめ、12月13日に記者発表し、関係各方面へ訴えた。2月22日にも講演会を開催した。

⑱ 子どもの貧困委員会

 3回の講演会(8月7日、2月14日、4月5日)を開催した。有識者を招くなど、委員会での討議(6月16日、10月6日、11月22日、3月1日)を柔軟に行い、緊急提言「貧困の連鎖を断ち切る効果的な教育投資を」をとりまとめ、11月29日に記者発表し、関係各方面に訴えた。また、大阪市が構築を進める「こども支援ネットワーク事業」への協力についても検討を深めた。

⑲ 地方分権改革委員会

 5回の講演会(8月1日、10月10日、12月14日、2月15日、2月28日)、勉強会を含む4回の委員会会合(6月8日、9月19日、11月7日、4月11日)を開催するなど精力的に活動、関西広域連合の成果も踏まえて、憲法改正も含む今日的な地方分権のあり方に関し検討を深めた。

⑳ 中堅企業委員会

 講演会1回(7月3日)、視察2回(9月1日、10月4日)、委員会会合4回(6月2日、11月8日、11月17日、12月11日)を開催した。9月29日には、恒例の「両代表幹事と語る会」も開催した。2年間の活動の成果として報告書「『殻を破る』ために~最新技術・ビジネスモデルの潮流に『やってみなはれ』で挑戦」をとりまとめ、12月幹事会に報告した上で、会員に提供した。その後も、視察2回(5月7日、5月9日)を行った。

㉑ 企業経営委員会

 講演会5回(7月24日、10月11日、11月8日、12月12日、1月29日)、委員会会合4回(6月22日、1月9日、2月15日、3月13日)を開催するなど精力的に活動した。その成果として、提言「"ホンモノ"の『働き方改革』への挑戦~目指すべきは労働時間短縮だけではなく持続的成長~」をとりまとめた。平成30年4月11日に記者発表し、関係各方面に訴えた。

㉒ 関西版ベンチャーエコシステム委員会

 講演会5回(7月14日、8月30日、10月5日、10月20日、1月23日)、視察1回(11月7日)の開催に加え、「欧州・イスラエル視察団」(9月10日~20日)を派遣し、スタートアップにとってより使い易く頼りがいのある支援の仕組み作りを調査するとともに、海外とのネットワーク強化に努めた。
 その成果として、提言「世界につながり、世界で評価されるベンチャーエコシステムを目指して」をとりまとめた。平成30年4月17日に記者発表し、関係各方面に訴えた。

㉓ 万博&MICE・IR推進委員会

 IR実施法案の策定が進む中、緊急要望「真に地域経済に寄与するIR実現に向けて~IR実施法案策定に求める4項目~」をとりまとめ、6月28日に記者発表し、関係各方面に訴えた。
 また、昨年度からの検討の成果として、提言「Well-Being新産業創造と世界最高水準の『日本型 IR』に向けた夢洲まちづくりへの提言」をとりまとめ、8月8日に記者発表した。
 講演会は2回(10月16日、11月16日)、海外IR事業者との意見交換会を含む委員会会合は4回(6月9日、9月6日、1月17日、2月27日)行った。

【委員会等の活動(4):会員相互の交流、自己啓発を主目的とする委員会の活動】

㉔ 会員懇談会

 時宜を得た講師を招き、5回(7月6日、10月12日、12月5日、3月2日、4月23日)の講演会を開催し、会員の相互研鑽・交流を図った。

㉕ 若手の会

 企業視察や先輩経営者と議論する会合等を5回(6月14日、9月7日、12月7日、2月24日、4月24日)開催し、次代の経済人としての資質向上を図った。

㉖ 時事問題研究会

 世の中の変化を読み取るテーマ、直面する重要課題について、3回の講演会(10月17日、2月13日、4月13日)を開催した。

㉗ 経営塾

 今年度は、4回(9月21日、11月13日、1月18日、3月8日)開催した。変革、成長を続けている企業トップからの講演をもとに意見交換を行うことで、企業経営の実践の一助とした。

 以上の委員会等の活動に加え、平成29年4月1日から5月15日までは、前年度の事業計画を引き継いで、前委員会の提言などの発表(7件)や6経済同友会代表幹事懇談会(4月6日)、中部経済同友会との合同懇談会(4月13日)、WMG2017オークランド大会訪問団(4月27日~5月1日、6団体共催)なども行った。
 なお、70周年記念事業として、平成19~28年度の本会の活動・取り組み・成果を記録した『語り継ぐ七十年史』も平成29年5月に完成、会員・関係各所に送付した。

【他経済団体などとの連携強化~本会の更なるプレゼンス向上に向けて①】

 2025年国際博覧会の大阪誘致に向けては、誘致委員会に参画。「2025未来社会デザイン会議」「2025年万博の誘致実現に向けた決起集会」への参画、BIE調査団来阪時の対応など、政府・府・市・他の経済団体と一体となって精力的に活動した。

 他に、他経済団体や自治体などと共同し以下の要望等を発表、実現を働き掛けた。
・南海トラフ地震等に対する緊急防災対策促進に係る提言(自治体、経済団体等による共同、8月及び11月)
・関西創生のための高速道路ネットワークの早期整備に関する要望~大阪湾岸道路西伸部・淀川左岸線延伸部~(関西高速道路ネットワーク推進協議会、8月及び11月、1月)
・地方拠点強化税制見直しに向けた提言(9府県市、9経済団体による共同、8月)

 また、下記のように、他団体と共同で政策決定者や内外のリーダーとの懇談会も開催、参加した。加えて産業振興、都市魅力向上でも連携を図った。
・新旧財務事務次官との懇談会(7月25日)
・黒田 日本銀行総裁との懇談会(9月25日)
・北陸新幹線の早期全線開業に向けた関西・北陸経済団体トップ会談(11月8日)
・財務省幹部との意見交換会(11月27日)
・JOC「アスナビ」の関西経済3団体への説明会(11月29日)
・水と光のまちづくり推進会議、大阪観光局(DMO)の推進に関するトップ会議(12月26日)
・大阪府・市・経済3団体首脳による意見交換会(12月26日)
・平成30年大阪新年互礼会(1月4日)
・関西広域連合との意見交換会(1月25日)
・関西健康・医療創生会議シンポジウム(3月26日)

 大阪府政・市政改革や、夢洲のまちづくり、夢洲・咲洲地区への企業誘致にも協力した。
 このほか、「IR推進会議」「大阪MICE推進委員会」「関西ワールドマスターズゲームズ2021組織委員会」「ラグビーワールドカップ2019大阪・花園開催推進委員会」「なにわ淀川花火大会」「ミナミ活性化協議会」「大阪スタイリングエキスポ2017」「『百舌鳥・古市古墳群』世界遺産登録を応援する府民会議」など、大阪府・市や他団体と協力し、大阪の魅力・賑わいづくりにも継続的に取り組んだ。
 本会が提言して設立された「関西サイエンス・フォーラム」「スポーツコミッション関西」「アーツサポート関西(ASK)」「関西キャリア教育支援協議会」などの活動に対しても支援を行った。

【発信力の強化~本会の更なるプレゼンス向上に向けて②】

 報道機関への情報提供をはじめ、事業を広く一般に知らしめるとともに、理解を訴えるために、下記をはじめ、様々な活動を行った。
○代表幹事記者会見を12回開催し、記者からの質問に応じるとともに、本会の主張への理解を訴えた。大阪経済記者クラブとの懇親パーティ(7月10日)なども開催し、発信に努めた。
○報道機関からの要請に応じて代表幹事コメントなど17件を発信した。
○本会の活動の概要を掲載する会報を年間9回発行し、会員及び行政・自治体・報道機関などに提供した。
○ホームページへの掲載を通じて、提言をはじめ本会の活動を積極的に発信した。