関西経済同友会とは

令和2年度 事業計画

未来社会の課題発見と新たな挑戦
~ベンチャー精神で課題解決を目指す~

一般社団法人 関西経済同友会

I. 基本認識

我が国は、先人たちのたゆまぬ努力により戦後の荒廃から奇跡の復興を遂げ、今年終戦から75年を迎える。最初の四半世紀は、東京オリンピックと日本万国博覧会の成功や、世界初の高速鉄道である新幹線の開業、世界4カ国目の人工衛星打ち上げ等の快挙により、内外に復興をアピールした。経済面においても、1964年にOECDへの加盟により経済先進国入りを果たし、1968年にはついに米国に次ぐ世界第2位の経済大国へと飛躍した。

続く四半世紀は、2度にわたる石油ショックや、プラザ合意による急激な円高、バブル崩壊等、幾つもの困難に晒されたが、この間も我が国は成長を続け、1994年のGDP世界シェアは約2割に達した。

しかし、直近の四半世紀は、中国を含む新興国を中心にグローバル経済が大きく発展する一方で、我が国は停滞し、2018年のGDP世界シェアは約6%まで低迷した。そして、この戦後75年の節目の年、我が国も含め、世界は新型コロナウィルス感染症の大流行に直面している。我々は、この難局を乗り越え、新たな成長の軌跡をスタートさせなければならない。

関西も、1970年万国博覧会は成功したが、それ以降は順調な発展の軌跡を必ずしも維持出来ず、1970年から2015年の間に域内総生産(GRP)全国シェアを19%から人口シェア並みの16%まで低下させた。

だが今、関西は再び飛躍の機会を迎えている。豊富な文化・歴史遺産に恵まれ、活気と人情に溢れるこの地を世界各国から年間1千万人が訪れる。世界トップクラスの研究レベルを誇る大学、研究機関が集積し、世界を変えるような発見・発明が行われている。自らの手で社会を変えようと志す起業家が集まり、切磋琢磨している。スタートアップと大企業が同じ目線に立ち共創を始めている。

このような状況下、2025年に大阪・関西で再び万博が開催されることとなった。他にも様々な開発プロジェクトやイベントが予定されている。このチャンスを生かし、未来に向けた関西の持続的な発展の基盤を作らなければならない。

我々は政治・経済・社会・個人の生活等あらゆる面で、VUCA(Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧))な時代に生きている。デジタルトランスフォーメーション等、新しい技術により社会・産業のあり方が急速に変化している。多発化する激甚災害が経済・社会の持続可能性に課題を突きつける。加えて今回の新たな感染症は、国際化する現代社会のリスクへの対応を我々に強く迫っている。過去の成功モデルはもはや通用しない。多様な担い手の叡智を結集し、新たな未来を切り拓かなくてはならない。

関西経済同友会は、戦後の荒廃が未だ癒えぬ1946年に、日本経済の堅実な再建を標榜する若手経済人有志によって設立され、新しい時代を切り拓く政策提言集団として、日本の再建、発展のために活動してきた。我々は、この先の見えない時代を生きぬき、輝く未来を実現するため、ベンチャー精神を持って未来社会の課題発見と解決に率先して取り組み、関西から世界を変えていく。

II. 重点課題

〇 関西の持続的発展

  • 2025年大阪・関西万博を通過地点として、グローバルな都市圏を目指し、発展のモメンタムを持続させなければならない。
  • 関西の持続的発展に向け、次の3分野に取り組む。
    • 経済のドライバー
    • 都市魅力
    • 幸福・暮らしやすさ
  • 関西が持つ優れた歴史・文化や、高度な大学・研究機関の活用にも積極的に取り組む。

〇 政治・経済・教育

  • 持続的発展を維持するために解決すべき政策課題について、次の分野を中心に取り組む。
    • 成長戦略
    • 社会保障
    • 教育問題
    • 安全保障
    • 地方分権

III. 活動指針

〇 Think Globally, Act Locally

  • 自由経済社会の重要な担い手としての高い理想と自覚を持って、国・自治体・企業・経営者等に対して、時代を一歩先取りした提言を行う。
  • 「世界の中の関西」を念頭に広い視野を持って、具体的な課題発見とその解決に向け率先して行動する。
  • 国内外諸団体との交流・連携を深め、広く外に向け発信する。

〇 Diversity and Inclusion

  • 多様性がもたらす価値 (Value) を理解し、多様な個性(Individualities)・価値観(Perspectives) ・発想 (Ideas)を尊重する。
  • 開かれた同友会であるために、国籍・文化・世代を超えた対話を重視する。

IV. 活動計画

上記の基本認識・重点課題・活動指針に基づき、以下の委員会を設けて活動を行う。

会務: 同友会全体としての活動や課題に取り組む委員会
1. 総合政策審議会
同友会の発信力向上と提言実現を目的に、政治家や行政関係者と交流を進める。
2. 調査企画部会
代表幹事の諮問を受け、適宜、諸問題・課題の検討を行う。
3. 経済同友会連携会議
全国の同友会と活発な交流を図り、連携を深め、提言力を高める。
提言・実行: 国・自治体・企業・経営者等への提言及び具体的な活動を実行する委員会

<持続的発展>

経済のドライバー

1. 企業経営委員会
デジタル化や職業観の変化等を踏まえた組織・働き方・ダイバーシティ等、時代に即した経営について議論する。
2. 中堅企業委員会
中堅企業による特色ある事業活動の実態調査を行い、時代に即した中堅企業の経営について議論する。
3. 未来ビジネス委員会
新しいテクノロジーやビジネスモデルによる産業構造の変化を探り、次世代の成長ドライバーについて議論する。
4. グローバル・ベンチャーエコシステム委員会
大学ディープテックとの連携等、関西を世界有数のエコシステムの一つとするための活動を実践する。
5. 関西ブリッジフォーラム推進委員会
ベンチャー企業と既存企業・大学の橋渡しを実践し、ベンチャーフレンドリーな都市づくりを推進する。
6. 環境・エネルギー委員会
低環境負荷社会の実現を目指した調査・研究を行う。万博を活用した地域のゼロエミッション・低環境負荷化についても議論する。
7. 文化の力委員会
文化を活用したビジネス創出や成長の可能性に関する調査・研究を行う。併せて企業所有美術品展の開催を支援する。

都市魅力

1. KANSAI 未来都市委員会
西日本のハブとなり世界と繋がる、魅力ある関西の実現に向けた調査・研究を行う。
2. 大阪・関西EXPO2025委員会
過去の万博からの学びを踏まえ、2025年大阪・関西万博の魅力向上に資する調査・研究を行う。
3. MICE・IR委員会
MICE・IRの進捗動向について調査を行う。
4. 関西広域インフラ委員会
関西の広域インフラ事業、うめきた・中之島・夢洲・新大阪等の開発動向について調査を行う。
5. 「関西×スポーツ」委員会
スポーツを通じた都市魅力向上について調査・研究を行う。
6. 西日本経済同友会会員合同懇談会実行委員会
10月に大阪で開催される、第118回西日本経済同友会会員合同懇談会の実行を担う。

幸福・暮らしやすさ

1. 子育て問題委員会
子育てに関する問題・課題を個人だけに負担させず、社会全体で解決する方策について議論する。
2. 大阪食文化委員会
割烹等の関西が世界に誇る食文化に関する調査・研究を行い、情報発信する。また会員間の親睦機会も提供する。

<政治・経済・教育>

1. 安全保障委員会
東アジアを含め、世界各地で国際的緊張と不透明感が高まる中、我が国の安全保障について研究する。
2. 経済政策委員会
成長戦略や社会保障制度改革の議論をフォローしつつ、あるべき経済・財政政策について調査・研究を行う。
3. 教育問題委員会
経済・社会環境・技術等の変化を踏まえ、現在の教育システムの問題・課題を発見し、解決策を探る。
4. 地方分権委員会
地方自治・分権の今日的意義を問い直すとともに、企業・住民からみた行政サービス提供のあり方についても調査・研究を行う。
5. 海外交流委員会
海外諸団体との交流を深める。併せてボストン・シンポジウム、関西・ハーバード フォーラムの企画・立案・開催を担う。
支援: 主に特定事業の支援・実行に取り組む委員会
1. グローバル適塾支援委員会
グローバル適塾の会員増強、ならびにカリキュラムの充実を支援する。
2. お水汲み祭り支援委員会
「堂島薬師堂節分お水汲み祭り」の支援を通じて水都大阪の都市魅力向上に取り組む。
啓発・研鑽: 自己啓発及び会員相互の交流・研鑽を主目的とする委員会
1. 会員懇談会
時宜を得た講師の招聘による啓発活動を行うとともに、会員相互の交流を促進する。
2. 経営塾
変革・挑戦を続ける企業の経営者等による講演会を開催する。
3. 若手の会
若手会員(50歳未満)の交流促進と同友会の中核人材育成の場を担う。